花石綱(読み)かせきこう(英語表記)huā shí gāng

改訂新版 世界大百科事典 「花石綱」の意味・わかりやすい解説

花石綱 (かせきこう)
huā shí gāng

中国,北宋第8代皇帝,徽宗(きそう)時代,江南地方に課せられた特殊な負担。花(珍木)・石(奇石)を好んだ徽宗に迎合した宰相蔡京(さいけい)が,宦官朱勔(しゆべん)らに命じて江南地方に花石をもとめ,船団を組んで運河を北上して国都へ送らせた。これを花石綱と呼ぶ。綱は輸送隊の意。花石の供出を命ぜられた家は,その搬出のために家屋損壊の被害を受けることもあり,運河輸送の労力は,沿道の人民に課されたので,不平の声が起こった。1120年(宣和2),朱勔を誅することを名として方臘(ほうろう)の乱が起こったので中止された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花石綱」の意味・わかりやすい解説

花石綱
かせきこう
Hua-shi-gang; Hua-shih-kang

中国の北宋末,花石を首都 汴京 (開封) に運搬した船団。宰相蔡京 (さいけい) は,徽宗皇帝が珍花奇石を好むのを知り,腹臣朱めんを江南に派し,花石を求めさせた。このため庶民の家の珍花奇石までも強奪し,江南の太湖で得た巨石を運ぼうとして,通過する州県の水門橋梁をことごとく破壊するなど,運搬夫の労苦とともに当時の社会に大きな被害を与えた。方臘の乱 (1120~21) が起ったのはこのためであった。しかし,この乱を機に花石綱は中止された。

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世界大百科事典(旧版)内の花石綱の言及

【方臘の乱】より

…当時,徽宗の遊興に供するため,宰相蔡京は蘇州の富民朱勔(しゆめん)父子に命じて江南から奇石珍木を徴発して都に運ばせ,この地方の人民を苦しめた。これを花石綱という。1120年(宣和2)10月,方臘は〈朱勔を殺せ〉をスローガンにして蜂起し,みずから聖公と号し,年号を永楽と定めた。…

※「花石綱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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