花木(読み)はなのき

精選版 日本国語大辞典 「花木」の意味・読み・例文・類語

はな‐の‐き【花木】

〘名〙
カエデ科の落葉高木。本州中部の山間の沢地にまれに生え、天然記念物に指定されているものもある。高さ二五メートルに達することがある。葉は細長い柄をもち対生。葉身は円形ないし心臓形で浅く三裂し縁は不整の鋸歯があり、裏面は白い。雌雄異株。花は紅色で、旧年枝の側芽から束状に出た花柄につく。春、葉に先だって開く。花弁は五枚。果実の翼は鋭角に開く。はなかえで。〔物品識名(1809)〕
② 植物「しきみ(樒)」の異名。〔物類称呼(1775)〕

か‐ぼく クヮ‥【花木】

〘名〙 花と木。また、花の咲く木。花樹
※法性寺関白御集(1145か)花木逢恩賞「逢恩逢賞喜無窮。花木帯栄立箇中
※拾玉得花(1428)「桜・梅・桃・梨なんどの色々の花木(クヮボク)にもわたるべし」 〔常建‐題破山寺後禅院詩〕

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デジタル大辞泉 「花木」の意味・読み・例文・類語

か‐ぼく〔クワ‐〕【花木】

花と木。
美しい花の咲く木。桜・梅・桃の類。花樹。
[類語]樹木木本木木きぎ果樹雑木苗木若木・成木・古木老い木老木老樹生木立ち木埋もれ木枯れ木朽ち木倒木流木名木霊木神木大木大樹巨木巨樹低木灌木高木喬木

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花木」の意味・わかりやすい解説

花木
かぼく

観賞に値する美しい花を咲かす樹木をさすが、広義には観賞のため栽培される果実や葉をつけるものも含む。開花期により春夏秋冬の花木に分けられ、熱帯に産するものは四季の区別なく開花するものが多いが、これらは一般的に温室花木あるいは熱帯花木とよばれる。利用面からは次のように分類される。

[堀 保男]

庭木

ウメ、ボケ、マンサクジンチョウゲレンギョウ、アジサイ、サツキ、ツツジ、ボタン、クチナシムクゲサザンカ、ツバキ、ロウバイ、そのほか実の美しいナンテンウメモドキムラサキシキブなど。

[堀 保男]

鉢物花木

ウメ、ボケ、エニシダオウバイ、アジサイ、アザレア、バラ、カイドウヒメリンゴブーゲンビレア、ハイビスカス、ゲンペイカズラギョリュウバイなど。

[堀 保男]

切り花としての枝物花木

モモ、ボケ、エニシダ、ヤナギ類、サクラ、サンシュユユキヤナギ、ツツジ、ツバキ、ナンテンなど。

[堀 保男]

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普及版 字通 「花木」の読み・字形・画数・意味

【花木】か(くわ)ぼく

花と木。花樹。唐・戴叔倫〔南軒〕詩 山に面しては畫に對(むか)ふが如く 水に臨みては坐して觴をす に愛す、木 欣欣として、陽(ひ)に向ふを得るを

字通「花」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「花木」の解説

花木 (ハナノキ)

学名:Acer pycnanthum
植物。カエデ科の落葉高木,園芸植物

花木 (ハナノキ)

植物。シキミ科の常緑小高木・高木,園芸植物,薬用植物。シキミの別称

花木 (ハナノキ)

植物。スイカズラ科の落葉低木,園芸植物,薬用植物。ニワトコの別称

花木 (ハナノキ)

植物。カエデ科カエデ属の落葉高木または低木の総称。カエデの別称

花木 (ハナノキ)

植物。カエデ科の落葉高木,高山植物。ハウチワカエデの別称

花木 (ハナノキ)

植物。カエデ科の落葉小高木。ヒトツバカエデの別称

花木 (ハナノキ)

植物。ミズキ科の落葉高木,園芸植物。ミズキの別称

花木 (ハナノキ)

植物。ツバキ科の常緑高木,園芸植物。サカキの別称

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世界大百科事典(旧版)内の花木の言及

【園芸】より

…続く《万葉集》では160種あまりの植物が詠まれている。歌中,庭,宿などが歌いこまれ栽培されていたとわかる花には,日本自生の花木としてヤマブキ,フジ,ハギ,ツバキ,サクラ,ウツギ,アジサイ,センダン,ネムノキの9種,庭木としてマツ,タケ,草花のユリとナデシコの計13種がある。渡来の花木,果樹,草花にはウメ,モモ,ケイトウなど10種がある。…

【花卉市場】より

…花卉は一般には花の咲く草本を意味するが,園芸作物として花卉という場合は,観賞用に栽培する切花(切葉,切枝を含む)類,鉢物類,花壇用苗物類,球根類,花木類,芝類をさす。本項では,この意味での花卉の生産,流通・貿易を取り上げる。…

※「花木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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