花暦八笑人(読み)はなごよみはっしょうじん

精選版 日本国語大辞典 「花暦八笑人」の意味・読み・例文・類語

はなごよみはっしょうじん ‥ハッセウジン【花暦八笑人】

滑稽本。五編一五冊。四編までは滝亭鯉丈(りゅうていりじょう)作、五編三冊は一筆庵主人渓斎英泉)、与鳳亭枝成作。渓斎英泉、歌川国直ほかの画。文政三~嘉永二年(一八二〇‐四九)刊。江戸の遊び好きの閑人仲間八人が、四季遊楽に演じる茶番とその失敗による滑稽を描く。江戸の四季を背景にしたことから、「花暦」は角書。八笑人。

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デジタル大辞泉 「花暦八笑人」の意味・読み・例文・類語

はなごよみはっしょうじん〔はなごよみハツセウジン〕【花暦八笑人】

滑稽本。5編15冊。滝亭鯉丈りゅうていりじょうほかの作。文政3~嘉永2年(1820~49)刊。江戸の閑人仲間八人が演じる滑稽を描いたもの。

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百科事典マイペディア 「花暦八笑人」の意味・わかりやすい解説

花暦八笑人【はなごよみはっしょうじん】

滑稽(こっけい)本。5編15巻。4編まで(1820年―1834年刊)滝亭鯉丈作。5編(1849年刊)上巻一筆庵(渓斎英泉)作,中・下巻興鳳亭枝成作。8人の遊び仲間が四季おりおりの行楽に茶番の趣向をこらして人びとの喝采(かっさい)を集めようとするが,そのたびに失敗する滑稽を描いたもの。
→関連項目滑稽和合人七偏人滝亭鯉丈

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改訂新版 世界大百科事典 「花暦八笑人」の意味・わかりやすい解説

花暦八笑人 (はなごよみはっしょうじん)

滑稽本。5編15冊。4編まで滝亭鯉丈(りゆうていりじよう)作,5編は一筆庵主人,興鳳亭枝成作。渓斎英泉,歌川国直ほか画。1820-49年(文政3-嘉永2)刊。卒八,安波太郎など能楽者(のうらくもの)仲間8人の遊戯生活を描いた作品で,この時期最高潮に達した茶番をもって一貫した趣向としている。笑いそのものは十返舎一九や式亭三馬の滑稽本にくらべてはるかにあくどく低級である。なお作中人物はすべて作者および交友にモデルを求めたものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花暦八笑人」の意味・わかりやすい解説

花暦八笑人
はなごよみはっしょうじん

滑稽(こっけい)本。五編15冊。1820年(文政3)から49年(嘉永2)刊。初編から四編までは滝亭鯉丈(りゅうていりじょう)作、渓斎英泉(けいさいえいせん)・歌川国貞(くにさだ)画。五編上は一筆庵(いっぴつあん)主人作、歌川国芳(くによし)画、五編中・下は与鳳亭(よほうてい)枝成作、歌川芳綱画。主人公佐次郎(さじろう)を中心とする卒八(そつはち)、安波(あば)太郎、野呂松(のろまつ)、出目助(でめすけ)、頭武(ずぶ)六、呑七(どんしち)、眼七(がんしち)などののらくら連中が、花見を手始めに、次々とたてる茶番の趣向に失敗する滑稽を、あくどく低級な笑いのうちに描く。末期江戸市民の退廃的な遊戯生活に取材した末期滑稽本の代表作。

興津 要]

『興津要校注『花暦八笑人』(講談社文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花暦八笑人」の意味・わかりやすい解説

花暦八笑人
はなごよみはっしょうじん

滑稽本滝亭鯉丈作。5編 15冊。ただし,5編上巻は一筆庵主人作,中巻と下巻は與鳳亭枝成作。文政3 (1820) ~嘉永2 (49) 年刊。気楽な江戸庶民の8人の仲間が集って,文化文政期に盛んであった茶番狂言を仕組むが,思わぬ手違いからみごとに失敗するという筋を滑稽に描いたもの。

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