精選版 日本国語大辞典 「花影」の意味・読み・例文・類語
か‐えい クヮ‥【花影】
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大岡昇平の小説。『中央公論』の1958年(昭和33)8~10月号、58年12月~59年3月号、5~6月号、8~11月号に連載。61年5月中央公論社刊。毎日出版文化賞、新潮社文学賞受賞。ヒロインの葉子はもう20年近く銀座の女給をやってきた、その意味では典型的な消費社会の浮き草のような女で、30歳になっても郵便貯金のかけ方もわからないような生活者として無知なところがあり、男女の性愛の駆け引きにしか人生の実態を知らない。その状況はおのずからこの作者の得意な実験小説的設定となった。彼女は相手の感情が実によく読めるのだが、打算的に利用しきれない無垢(むく)な面があり、人間関係がすべて仮象のように思われたとき死を選ぶ。その哀感を描いた傑作である。
[亀井秀雄]
『『花影』(集英社文庫・新潮文庫)』
《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...
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