芝不器男(読み)しばふきお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「芝不器男」の意味・わかりやすい解説

芝不器男
しばふきお
(1903―1930)

俳人愛媛県生まれ。結婚して太宰(だざい)姓となる。旧制松山高校を経て東京帝国大学林学科に入り、さらに東北帝国大学機械工学科に転じたが中退。1923年(大正12)郷里の句会に誘われたのが句作の最初で、吉岡禅寺洞(ぜんじどう)の『天(あま)の川(かわ)』、翌年から『ホトトギス』に投句し、万葉語を駆使した叙情味豊かな青春の句により新進作家として知られた。28年(昭和3)結婚後は作句少なく、肉腫(にくしゅ)を病んで28歳で没した。没後『不器男句集』(1934)が刊行された。

村山古郷

 あなたなる夜雨(よさめ)の葛(くず)のあなたかな

『飴山実編『定本芝不器男句集』(1970・昭森社)』『飴山実著『芝不器男伝』(1970・昭森社)』『塩埼月穂編『不器男全句集』(1980・私家版)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「芝不器男」の解説

芝不器男 しば-ふきお

1903-1930 大正-昭和時代前期の俳人。
明治36年4月18日生まれ。「天の川」「ホトトギス」などに投句。万葉語を駆使した叙情句で昭和初期の俳壇新風をふきこむ。昭和3年結婚して太宰(だざい)姓となる。昭和5年2月24日死去。28歳。没後,「芝不器男句集」が刊行された。愛媛県出身。東北帝大中退。
格言など】あなたなる夜雨の葛のあなたかな(「芝不器男句集」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「芝不器男」の意味・わかりやすい解説

芝不器男
しばふきお

[生]1903.4.18. 愛媛
[没]1930.2.24. 福岡
俳人。東京大学森林学科を経て 1928年東北大学機械科を卒業,2年後に没。句作は 25年から始め,『枯野』『ホトトギス』『天の川』などの句誌に近代的抒情豊かな作品を『万葉集』などの古典語を駆使して発表。俳壇の注目を浴びて,新興俳句運動の先駆者的役割を果した。

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