芙蓉(読み)ふよう

精選版 日本国語大辞典 「芙蓉」の意味・読み・例文・類語

ふ‐よう【芙蓉】

[1] 〘名〙
アオイ科の落葉低木。中国に自生し、伊豆、紀伊半島などにも野生化しているが、ふつうは観賞用に庭園に植えられる。高さ一~三メートル。葉は互生して長柄をもち、掌状に浅く三~七裂、縁に鋸歯(きょし)がある。夏から秋にかけて、幹上部の葉腋に径一〇センチメートルぐらいの淡紅色花をつける。花の基部に一〇個の小苞葉があり、花弁は五枚で螺旋状に巻き、朝開いて夕方はしぼむ。白花や八重咲きの品種もある。漢名、木芙蓉。きはちす。《季・秋》
▼ふようの実《季・秋》
※両足院本山谷抄(1500頃)一三「菊や芙蓉はまだ十分に開かぬぞ」 〔俳諧・毛吹草(1638)〕
② 蓮の花の異称。
経国集(827)一三・奉和搗衣引〈惟氏〉「芙蓉杵、錦石砧、出華陰与鳳林」 〔史記‐司馬相如伝〕
[2]
[一] 「ふようほう(芙蓉峰)」の略。
※雑俳・笠付類題集(1834)「ひろい事・芙蓉をほった窪たまり」
[二] 「ふよう(芙蓉)の間」の略。
※雑俳・柳多留‐一四一(1835)「芙蓉とは水きわの立つ御立身」

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デジタル大辞泉 「芙蓉」の意味・読み・例文・類語

ふ‐よう【××蓉】

アオイ科の落葉低木。暖地の海岸近くに自生。葉は手のひら状に裂けていて、先がとがる。夏から秋、葉の付け根に淡紅色の大きな5弁花を開き、1日でしぼむ。園芸品種には白・紅などの花色や八重のものもある。きはちす。 秋》「月の出を―の花に知る夜かな/鳴雪
ハスの花の古名
太液の―、未央の柳」〈桐壺

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普及版 字通 「芙蓉」の読み・字形・画数・意味

【芙蓉】ふよう

はす。はす模様。唐・白居易長恨歌〕詩 雲鬢(うんびん)、顏、金搖(きんぽえう)((かんざし)の髪飾り) の帳はかにして、春を度(わた)る

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「芙蓉」の解説

ふよう【芙蓉】

佐賀の日本酒。酒名は、鍋島藩の支藩蓮池藩の城「芙蓉城」と、富士山別称芙蓉峰」に由来。大吟醸酒、純米大吟醸酒、純米吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒などがある。原料米はレイホウ、西海134号、山田錦。仕込み水は筑後川の伏流水。蔵元の「田中酒造」は寛永17年(1640)創業。所在地は佐賀市蓮池町小松。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「芙蓉」の解説

芙蓉 ふよう

?-? 江戸時代前期の遊女。
寛永(1624-44)のころの人。江戸吉原(よしわら)の菱屋権右衛門の抱え。華麗さをこのみ,晴雨に関係なく駒下駄(こまげた)をはいて花魁(おいらん)道中をしたので,のちこれが廓(くるわ)の風俗になったという。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「芙蓉」の解説

芙蓉 (フヨウ)

学名:Hibiscus mutabilis
植物。アオイ科の落葉低木,園芸植物

芙蓉 (フヨウ)

植物。スイレン科の抽水性多年草,園芸植物,薬用植物。ハスの別称

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