色道大鏡(読み)シキドウオオカガミ

デジタル大辞泉 「色道大鏡」の意味・読み・例文・類語

しきどうおおかがみ〔シキダウおほかがみ〕【色道大鏡】

江戸時代評判記。18巻。藤本箕山ふじもときざん著。延宝6年(1678)16巻が成立、貞享5年(1688)以降に18巻成立。諸国遊里風俗習慣を記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「色道大鏡」の意味・読み・例文・類語

しきどうおおかがみ シキダウおほかがみ【色道大鏡】

江戸前期の評判記。一八巻一四冊。藤本箕山(きざん)著。延宝六年(一六七八)成立。遊郭慣習、用語、行事遊女などを系統的に解説した、遊郭についての百科事典的な書。

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改訂新版 世界大百科事典 「色道大鏡」の意味・わかりやすい解説

色道大鏡 (しきどうおおかがみ)

色道論書。藤本箕山著。18巻14冊。1678年(延宝6)の序をもつ。17世紀初頭は実用・娯楽両用の書として遊女評判記の類が数多く出版された。本書はそれらを踏まえて〈色道〉という観点から全国のプレー・ゾーンを網羅しようとした。いわば,17世紀版エンサイクロペディア・エロティカである。遊里での用語を解説する〈名目抄〉,遊里の格式,作法を記す〈寛文格〉〈寛文式〉,色道悟入の階梯を《法華経》に擬した〈二十八品〉,起請文,誓詞など遊中の心中立ての作法,故実等を解説する〈心中部〉,遊里での遊戯,音曲についての〈翫器部〉〈音曲部〉,遊女の手紙の書き方,用語についての〈文章部〉,遊女の紋,名前についての〈定紋部〉〈人名部〉,三都(京都,大坂,江戸)中心の全国の官許の遊廓沿革,行事,慣習等を記す〈遊廓図〉,私娼についての〈雑女部〉,歴代名妓の逸話,奇聞を述べる〈雑談部〉,京島原の遊女の系譜を記す〈道統譜〉,三都名妓の列伝を述べる〈列女伝〉,放逸無礼の徒の遊興を戒める〈無礼講式〉から成る。若年ころから遊里に出入していた箕山が,本書編纂を思いたったのち,全国各地の遊里を実際に回ること30有余年にして著されたものである。書名の〈色道〉は,茶道華道香道等に伍するだけの理念,格式,作法をもつ理想的な遊びの〈道〉を意味するものである。なお,本書が浮世草子《好色一代男》(1682)成立に種々の影響を与えたことは周知のとおりである。巻五〈二十八品〉の部分のみ《色道小鏡》(5巻5冊)と題して,1699年(元禄12)に刊行されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「色道大鏡」の意味・わかりやすい解説

色道大鏡
しきどうおおかがみ

遊女評判記。18巻。藤本箕山(きざん)(1628―1704)作。1678年(延宝6)ごろの成立。30年以上に及ぶ諸国の遊里での著者の見聞や体験に基づき、遊里に関して必要な知識や作法を詳述した作品。遊里での独特のことばを解説し、遊女や遊客の作法を説き、全国各地の遊里の由来、内実を紹介し、遊里で行われる音曲や手紙について説明を加え、遊女の系統図を付し、著名な遊女たちの逸話を伝え、さらには、遊里以外の女たちの性風俗の解説にまで及ぶ。まさに遊里、性風俗百科全書とも称すべき書である。本書は、西鶴(さいかく)の好色物の成立に影響を与えているだけではなく、風俗研究書としても高い価値をもち、現在、元禄(げんろく)期(1688~1704)までの遊興の世界を幅広く詳細に知ることができるものとして、研究者の間で利用される機会も多い。

[谷脇理史]

『野間光辰編著『完本色道大鏡』(1961・友山文庫)』『同解題『色道大鏡』全3巻(1974・八木書店)』

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百科事典マイペディア 「色道大鏡」の意味・わかりやすい解説

色道大鏡【しきどうおおかがみ】

江戸時代の遊女評判記。藤本(畠山)箕山〔1628-1704〕著。1678年序。18巻。箕山は京都の上層町人で,早くから遊女評判記に筆を染めていたが,その後全国的規模の色道百科の編述を期して作りあげたのがこの本。近世初期遊女評判記中出色のもの。60余州を30有余年にわたって歩き,集めた資料,経験をまとめている。色道の用語,色道指南から遊女の評判までを記す。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「色道大鏡」の意味・わかりやすい解説

色道大鏡
しきどうおおかがみ

江戸時代前期の遊里案内書。藤本箕山著。 18巻。延宝6 (1678) 年成立。全国の遊里を 30年にわたって歩き,集めた資料をもとに,遊里のしきたり,色道の極意,遊所案内,遊女伝などを述べた大作。井原西鶴の好色物などのちの文学へ影響を与えた。 (→遊女評判記 )

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