色界(読み)しきかい

精選版 日本国語大辞典 「色界」の意味・読み・例文・類語

しき‐かい【色界】

〘名〙 (rūpa-dhātu訳語)
仏語三界の第二。浄らかな物質からなる世界で、四禅を修めたものの生まれる天界。また、そのような有情生存をいう。欲界の上、無色界の下にあり、欲界のような諸欲から離れているが、まだ色としての物質から解放されていない世界。これを四禅の一々によって四禅天に分け、また、さらに十七天(または十六天・十八天)に分ける。色界天色天。〔法華義疏(7C前)〕 〔大智度論‐一六〕
色欲にとらわれている世界。色情界。
読本南総里見八犬伝(1814‐42)三「夫色界(シキカイ)の迷津(めいしん)は、賢不肖無差別也」

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デジタル大辞泉 「色界」の意味・読み・例文・類語

しき‐かい【色界】

仏語。三界の一。欲界の上、無色界の下にある世界。欲界のように欲や煩悩ぼんのうはないが、無色界ほど物質や肉体束縛から脱却していない世界。色界天。色天。四禅を修めた者の生まれる天界で、初禅天から第四禅天の四禅天よりなり、さらに一七天に分ける。

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世界大百科事典(旧版)内の色界の言及

【宇宙】より

…これら〈空居(くうご)天〉は仏教の修行者が修行に応じて登る,いわば階段である。これまで説明した世界のうち他化自在天より下のほうは欲界で,そこに住むものは欲望にとらわれているが,それから上は色界で,そこに住むものは欲望は克服したものの,物質的条件はまだ克服していない。欲界,色界は大きさをもつが,それは贍部洲だけでも図6のような規模である。…

【三界】より

…サンスクリットでトリ・ダートゥtri‐dhātu。三界とは欲界kāma‐dhātu,色界rūpa‐dhātu,無色界ārūpa‐dhātuの三つの界をいう。色とは物質のことである。…

※「色界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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