良忠(読み)リョウチュウ

デジタル大辞泉 「良忠」の意味・読み・例文・類語

りょうちゅう〔リヤウチユウ〕【良忠】

[1199~1287]鎌倉中期の浄土宗の僧。石見いわみの人。然阿と称す。天台倶舎くしゃ法相ほっそうなどの各宗、のち浄土教を学び、関東に広く布教して鎌倉に蓮華寺光明寺)を創建浄土宗第三祖。門下は六流をなした。

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精選版 日本国語大辞典 「良忠」の意味・読み・例文・類語

りょうちゅう リャウチュウ【良忠】

鎌倉時代の浄土宗の僧。浄土宗第三祖。字は然阿、勅諡は記主禅師。天台・倶舎・法相・禅・律の諸学を修め、郷里石見国(島根県)に帰って不断念仏を行じていたが、嘉禎二年(一二三六筑後国(福岡県)に赴き、弁長について浄土教をきわめ、遊歴ののち鎌倉に悟真寺(のちの光明寺)を開いた。その門から白籏流など六派が生じた。著書「観経疏伝通記」など。正治元~弘安一〇年(一一九九‐一二八七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「良忠」の意味・わかりやすい解説

良忠
りょうちゅう
(1199―1287)

鎌倉時代の浄土宗の僧。然阿弥陀仏(ねんあみだぶつ)といい、略称を然阿(ねんあ)、諡号(しごう)を記主(きしゅ)禅師という。浄土宗第三祖で、専修念仏(せんじゅねんぶつ)を弘(ひろ)め、多くの書を著して浄土宗の教学大成に尽力した。石見(いわみ)国(島根県)三隅庄(みすみしょう)に生まれ、同国鰐淵寺(がくえんじ)の信暹(しんせん)の門に入り、比叡(ひえい)山で受戒し、天台、倶舎(くしゃ)、法相(ほっそう)、禅、律などを学んだ。九州に下向したとき、布教中の弁長(べんちょう)に会って弟子となり、浄土の教義を伝授された。さらに安芸(あき)(広島県)、信濃(しなの)(長野県)、上総(かずさ)(千葉県)など諸国の布教に専念した。とくに上総では千葉氏一族の外護(げご)を受け、教化、講義、著述などに力を注ぎ、また創建した寺院も多い。鎌倉に入ってからは専修念仏の指導的立場となり、悟真寺(ごしんじ)(後の光明寺(こうみょうじ))を建立して関東における浄土宗発展の基盤をつくった。その後、弟子の要請により京に上り、布教、著述に活動を続けた。『観経疏伝通記(かんぎょうしょでんずうき)』『選択伝弘決疑鈔(せんちゃくでんぐけつぎしょう)』などの著作がある。

[阿川文正 2017年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「良忠」の意味・わかりやすい解説

良忠
りょうちゅう

[生]正治1(1199).7.27. 石見
[没]弘安10(1287).7.6. 相模
鎌倉時代の僧。浄土宗第3祖。 13歳で出家し,出雲の鰐淵寺で天台学,倶舎学を修める。のち寺を出て法相,律,禅を学び,郷里の石見三隅庄へ帰って念仏を修した。嘉禎2 (1236) 年筑後へ下って聖光房弁長 (浄土宗第2祖) に会い,浄土教の秘要をすべて授与された。諸国を歴遊して布教し,また述作に努め,正嘉2 (58) 年悟真寺 (のち光明寺) を創建した。主著『観経疏伝通記』『選択決疑鈔』。

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367日誕生日大事典 「良忠」の解説

良忠 (りょうちゅう)

生年月日:1199年7月27日
鎌倉時代前期の浄土宗の僧
1287年没

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世界大百科事典(旧版)内の良忠の言及

【浄土宗】より

…同寺は北九州地域の浄土宗の中核となった。鎮西に勃興した弁長の門流を鎮西派といい,弁長の弟子良忠によって関東に教線をのばした。良忠は鎌倉で著作と布教に専心し,理論的指導者として活躍,浄土宗典註疏を大成し,また関東浄土宗発展の貢献者となった。…

【弁長】より

…1228年(安貞2)肥後の往生院で48日間の別時念仏を修し,この間に《末代念仏授手印》を著して,法然滅後の異義を正そうとした。37年(嘉禎3)良忠(1199‐1287)に法を伝え,翌年没した。弁長の法流を鎮西派というが,弟子良忠とその門下が浄土宗内で主流的位置を占めるにつれ,弁長には浄土宗2代の地位が与えられるようになった。…

※「良忠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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