船医(読み)せんい

精選版 日本国語大辞典 「船医」の意味・読み・例文・類語

せん‐い【船医】

〘名〙 航海中の船に乗り組んで、乗組員船客傷病を治療し、乗組員の健康診断などを行なう医師
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「上衣を脱ぎ捨てた船医らしい男が」

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デジタル大辞泉 「船医」の意味・読み・例文・類語

せん‐い【船医】

船に乗り組んで、乗組員や乗客の傷病の診療を行う医師。
[類語]医師医者医家ドクタードクトルホームドクター国手女医名医藪医者侍医主治医軍医学校医町医者開業医内科医外科医眼科医目医者歯科医歯科医師歯医者獣医御典医

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「船医」の意味・わかりやすい解説

船医
せんい

一般に船内で乗組員や乗客の医療に従事する医師をいう。航海中の船舶陸上から孤立し、独立した社会を形成しているため、ここで生じた保健問題のすべては船内で処理しなければならない。しかも船員は生活の場と職場とが同一で、変則的な食事と睡眠とを余儀なくされる海上生活の特殊性から、陸上他業種に比べ、災害事故や疾病の発生率が高い。このため、専門的な技術や資格を要する医療については船員法(昭和22年法律100号)で、「3000トン以上で最大搭載人員100名以上の船舶や3000トン以上または100名以上乗員のいる母船式漁船のように、医療の確保がとくに必要な船舶については、船舶所有者が船内にその母港で開設許可を受けた診療所を設け、そこに医師を乗り組ませなければならない」と規定されている。この規定を受けるのが船医である。船医はこのほか、船員の健康管理や保健指導、船内の作業環境や居住環境の衛生保持、食料や用水の衛生保持、医薬品その他の整備および点検など、船内の衛生管理に関する業務に従事しなければならない。最近、船舶の大型化、省力化に伴い船員の労働条件は悪化しがちであり、船医の役割はますます大きくなっているが、人件費節減のため、法的に船医の配置を要する船舶対象が削減され、船医の人員は減少傾向にある。しかし大型客船の場合は、乳幼児から老人に至るまで、多数の乗客を長時間収容するため、船医の役割はとみに大きくなった。

[春日 齊]

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