航空地方気象台(読み)こうくうちほうきしょうだい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「航空地方気象台」の意味・わかりやすい解説

航空地方気象台
こうくうちほうきしょうだい

気象庁の地方組織で、航空機や航空路の安全運航のため航空気象に関する各種業務を行う。東京、成田中部、関西の4航空地方気象台があり、それぞれ羽田、成田、中部、関西の各国際空港に所在する。地方気象台と同等に扱われ、東京管区気象台と大阪管区気象台の管理下にある。業務内容としては、「航空機の運航の安全性・定時性・経済性の確保に資するため必要な飛行場の気象観測、各種予報」「航空機の運航への悪影響および空港施設等に被害をもたらすおそれのある気象現象に関する気象警報・情報の発表」「気象実況・予報等に関する解説」など(東京航空地方気象台「業務概要」より)がある。ほぼ同等の業務を行う地方組織に航空測候所がある(新千歳、仙台、大阪、福岡、鹿児島那覇の6か所)。また、航空地方気象台と航空測候所の下には管内の空港に出張所や分室が設けられ、日本国内の約90の空港において気象業務を行っている。

 たとえば、東京航空地方気象台では、大島、松本の両空港に空港分室を、八丈島、新潟、富山能登(のと)、静岡の各空港に空港出張所をおいているほか、自衛隊共有空港である小松、茨城の両空港に対しては,それぞれ小松空港気象連絡室、百里(ひゃくり)空港気象連絡室を設け、空港を管理している自衛隊に対し航空気象情報を提供している。なお、茨城空港は、百里飛行場の民間施設名でもある。また、空港の気象観測を空港管理者である地方公共団体に委託している新島(にいじま)、神津島(こうづしま)、三宅島(みやけじま)、福井佐渡(さど)の5空港の航空気象観測所に対し、観測データの通報や観測委託職員への技術指導などを行っている。予報業務としては、(1)空港から半径9キロメートルの範囲を対象とする飛行場予報(運航用飛行場予報、飛行場時系列予報、着陸用飛行場予報、離陸用飛行場予報)、飛行場警報、飛行場気象情報、(2)東京進入管制区とその周辺に対する狭域悪天予想図、(3)視程と雷の有無を組み合わせ3時間ごとの時系列で予報するカテゴリー予報、などを行っている。観測業務としては、空港気象ドップラーレーダーや空港気象ドップラーライダー、風向風速計、滑走路視距離計(RVR:Runway Visual Range)、雲高測定器(シーロメーター)などの観測機器を配置し、その観測データを常時提供している。

[饒村 曜]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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