臼の声(読み)ウスノコエ

デジタル大辞泉 「臼の声」の意味・読み・例文・類語

うすのこえ〔うすのこゑ〕【臼の声】

箏曲そうきょく山田流奥許おくゆるし物で、生田流でも演奏する。3世山登松齢やまとしょうれいが明治初年に作曲。古臼を燃やしたら香木であったので奉行に献上したところ、歌詞を賜ったという箏曲夏衣」の歌詞を転用

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臼の声」の意味・わかりやすい解説

臼の声
うすのこえ

山田流箏曲の曲名。奥歌曲。原曲は 18世紀後半に活躍した尾張藤尾勾当作曲 (箏手付は吉沢検校) の地歌『夏衣』であるが,3世山登松齢が山田流に移し,3世山登襲名披露曲として,1879年 (1874年とも) に発表。作詞歌人の冷泉為村 (一説に名古屋町奉行の森川三左衛門) 。没落した名古屋の花井甚左衛門が土蔵の臼を薪にして燃やすと,よい香りのする赤栴檀であったため,香として人々に配った。藤尾勾当はこれを「臼」と名づけて冷泉為村 (森川三左衛門) に献上し,その返礼として詞章が作られたという。「うす」という語にちなむ言葉を綴り,春夏秋冬の風景を歌う。各季節の間に合の手があり,特に最後の合の手は手事風で長く,聞かせどころ。夏の歌の次の合の手には『六段』初段が地として合う。箏は半岩戸調子から雲井調子。三弦は低二上りから,三下りを経て本調子。

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