臭素の製造(読み)シュウソノセイゾウ

化学辞典 第2版 「臭素の製造」の解説

臭素の製造
シュウソノセイゾウ
manufacture of bromine

にがり1 m3 中には臭素が2~4.5 kg 含まれ重要な臭素資源であるが,次の諸方式により抽出される.
(1)酸化剤法:酸と酸化剤とにより臭化物を酸化して臭素を遊離・抽出する.

   3MgBr2 + 3H2SO4 + KClO3

3MgSO4 + KCl + 3Br2 + 3H2O   

濃厚にがりに計算量の約2倍量のKClO3とH2SO4を加え,蒸留器中で沸騰すると約110 ℃ で臭素蒸気が発生し,水蒸気とともに冷却器を通過し,受器に集まり,下層に臭素,上層に臭素水がたまる.
(2)抽出法:酸化剤や塩素などで遊離させた臭素を四塩化炭素で抽出する方式で,蒸留法の改良法である.
(3)塩素法:連続的に臭素を蒸留分離する方式.塔式蒸留器を用い,臭素の沸点以上においてにがりを流下し,塩素ガスを向流的に下から導入して次の反応により分離する.

MgBr2 + Cl2 → MgCl2 + Br2

水蒸気の9倍も重い臭素蒸気は,蒸留塔を個室に区切るなどの工夫によって,運び出されるようにしてある.収率90~95%,純度96~98%.わが国で広く行われている海水の塩素化による直接分離方式もある.[別用語参照]にがり工業

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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