自然派(読み)しぜんは

精選版 日本国語大辞典 「自然派」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐は【自然派】

〘名〙 現実をありのままに、理想化を行なわないで写し取ることを主張する自然主義立場に立つ作家一派
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉梓神子「自然派(シゼンハ)虚実を兼ね人情専とかかれしには」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の自然派の言及

【グリゴロービチ】より

…バルザックやジョルジュ・サンドなどヨーロッパの〈農民小説〉の影響のもとに,ロシア最初の農民小説《村》(1846),《不幸なアントン》(1847)を書く。農民(ナロード)を主人公とし,それを共感をもって描くという手法は,ツルゲーネフに大きな影響を与えたが,彼はこの2作により,ゴーゴリによって代表される文学上の新流派〈自然派〉の最も重要な作家とみなされた。工科学校出身だった彼は,学校の後輩ドストエフスキーを文壇に出したが,その40年後チェーホフを発見するという大きな貢献をロシア文学史に対して果たした。…

【ロシア文学】より

…プーシキンに代わってロシア文学の中心となったのがゴーゴリである。40年代初頭ゴーゴリの影響下に〈自然派〉と呼ばれる文学グループが形成された。この流派は世界観的にはまだロマン主義に属しているとはいえ,文学的タブーをいっさい取り払って低級卑俗なものを含め,細部描写に関心を寄せる点でリアリズムへの架橋の役を果たした。…

※「自然派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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