自家移植(読み)ジカイショク

デジタル大辞泉 「自家移植」の意味・読み・例文・類語

じか‐いしょく【自家移植】

自分自身細胞組織移植すること。→他家移植

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自家移植」の意味・わかりやすい解説

自家移植
じかいしょく

個体内にある組織または臓器を同一の個体内の別の個所に移植すること。自己移植あるいは自家組織移植ともいう。熱傷を負った皮膚へほかの健全な部位を移植する自家皮膚移植、狭心症の改善や心筋梗塞(こうそく)の予防目的で、狭窄(きょうさく)や閉塞のある冠動脈の先に個体内の別の血管をつなげて血流バイパスをつくる冠動脈・大動脈バイパス術、甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)で甲状腺を全摘もしくは亜全摘した際の副甲状腺移植などがある。ほかに、腎(じん)臓を腎動脈ごと体外に取り出し腫瘍摘出などの手術後に再び体内にもどす自家腎移植、乳癌(がん)の根治手術乳房を切除した後の乳房再建術として行われる自家組織移植などがある。

 これに対して、自己以外の個体の組織の一部を自己の個体に移植するものを他家(たか)移植という。また、同じ遺伝子をもつ一卵性双生児間などで行う移植を同系移植、ヒトとヒトなど同じ種間で行う移植を同種移植、ヒトと別の霊長類など異種間で行う移植を異種移植とよぶ。自家移植は自己の個体内で行われる移植であるため、同系移植も含めて血流が良好に保たれれば移植片の生着率はきわめて高く、移植後に免疫学的な拒絶反応がおこることはほとんどないが、同種移植や異種移植では拒絶反応の可能性を否定できない。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「自家移植」の意味・わかりやすい解説

自家移植【じかいしょく】

移植

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世界大百科事典(旧版)内の自家移植の言及

【移植】より

…一般には,ある個体の一部分すなわち細胞,組織あるいは器官などを同一個体の他の部分または別の個体に植えることをいう。移植体の宿主が同じ個体の場合を自家移植,別の個体の場合を他家移植と呼ぶ。今日では,細胞核を卵や他の細胞に植え込む場合にも移植という言葉が適用される。…

【臓器移植】より

…移植には,臓器の供与者(提供者またはドナーdonor)と受容者(もらい手またはレシピエントrecipient)がいる。両者が同じ生体,たとえば自分の皮膚を自分の他の部に移植することを〈自家移植〉,両者の遺伝子が同じ場合,たとえば一卵性双生児や純系マウス間の移植を〈同系移植〉,同じ種間の移植,たとえばヒトとヒト,イヌとイヌ間の移植を〈同種移植〉,異種間,たとえばヒトとチンパンジー間の移植を〈異種移植〉という。 自家移植と同系移植は外科手技が成功すれば,移植も成功するが,同種移植や異種移植では,移植臓器に拒絶反応が生ずる。…

※「自家移植」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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