自家撞着(読み)じかどうちゃく

精選版 日本国語大辞典 「自家撞着」の意味・読み・例文・類語

じか‐どうちゃく【自家撞着】

〘名〙 (「撞着」は突きあたる意) 同じ人の言行文章などが前と後とでくいちがって、つじつまが合わないこと。また、自分自身の言うことと矛盾するような言動をすること。自己矛盾。自家撲滅。
※教育令制定理由(1879)布告案「一定不易の学齢を伸縮すべしと為さば自家撞著を免かれざればなり」

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デジタル大辞泉 「自家撞着」の意味・読み・例文・類語

じか‐どうちゃく【自家×撞着】

[名](スル)同一人の文章や言動が前後食い違って、合わないこと。自己矛盾。「自家撞着に陥る」「理論自家撞着する」
[類語]食い違いずれ行き違いジレンマ矛盾撞着どうちゃく齟齬そご牴牾ていご二律背反背反背理不整合不一致扞格かんかく対立相克あい反する食い違うミスマッチ相容れない

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四字熟語を知る辞典 「自家撞着」の解説

自家撞着

言行や文章などが前と後とでくいちがうこと。以前とは矛盾する言動をとること。自己撞着。

[活用] ―する。

[使用例] 彼はもう正気な人間ではない。正気な人間にしてはあまりに明らかな自家撞着を平気でやっている[志賀直哉クローディアスの日記|1912]

[使用例] それを非難するのは、海軍陸軍のようでなかったといって非難することになって、自己撞着の面が出て来るが[阿川弘之山本五十六|1965]

[使用例] 裁判官はヒューマニスチックな考えで、正しい裁判を行おうとしても、自家撞着に陥るだけだ。日本の裁判所の実態が改まらない以上、そして事件のふくそうという現実がある以上、かんぺき判決なんか心掛けていては、事件は片付かない[大岡昇平*事件|1977]

[解説] 現代語で「撞」を使うことばとして、まず思い浮かぶのは「撞球」です。玉突き、いわゆるビリヤードのことです。また、お寺の鐘をつく「しゅもく」も、この字を使います。「撞」には物をつくという意味があることがわかります。
 一方、「着」は、いろいろな用法を持つ漢字です。「到着」「帰着」など、そこに行き着く場合にも使います。もうそこで終わりになる、という意味です。
 この二字をつないだ「撞着」は、突き当たってもう先へ行けないことを表します。「自家撞着に陥る」と言えば、同一人物のことばや文章などが、互いに突き当たってしまう、つまり、矛盾をきたすということです。
 「自家撞着」は、漢字の意味を考えれば、そう難しいことばではありません。ただ、いささか学術的、古風な感じがあり、一般には「自己矛盾」のほうがよく使われます。例文の[山本五十六]のように「自己撞着」の形にもなります。

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