臨時報告書(読み)りんじほうこくしょ

改訂新版 世界大百科事典 「臨時報告書」の意味・わかりやすい解説

臨時報告書 (りんじほうこくしょ)

有価証券報告書を提出しなければならない会社は,事業年度の途中で一定の事由が生じたときに,その内容を記載した報告書を大蔵大臣に提出しなければならない(証券取引法24条の5-3項)。これを臨時報告書という。臨時報告書は,大蔵省,会社の本店および主要な支店証券取引所または証券業協会に備え置かれて,公衆縦覧に供せられる(25条)。この臨時報告書の制度は,事業年度の途中で生じた重要事実を投資者に開示させるためのものである。臨時報告書の提出が要求されるのは,外国で有価証券の募集または売出しが開始されたとき,募集によらないで取得される有価証券で取締役会等の決議があったとき,親会社または子会社異動があったとき,主要株主の異動があったとき,および重要な災害が発生しそれがやんだとき,重大な訴訟が提起されまたは解決したとき,重大な合併契約が締結されたとき,重大な営業もしくは事業の譲渡もしくは譲受けの契約が締結されたとき,代表取締役の異動があったとき,会社の債務者等の更生手続開始の申立て等があったとき,財政状態および経営成績に著しい影響を与える事象が発生したときの11の場合である。臨時報告書の開示機能を補うものとして,証券取引所の要請による適時開示(営業内容の重大な変更等を報道発表させる)の制度が重要である。なお,臨時報告書の不提出,虚偽記載等に対しては罰則規定があり,また虚偽記載等には民事上の責任が課せられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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