膜性腎症の診断基準(読み)まくせいじんしょうのしんだんきじゅん

家庭医学館 「膜性腎症の診断基準」の解説

まくせいじんしょうのしんだんきじゅん【膜性腎症の診断基準】

①臨床的特徴
a.年齢:中・高年齢に多い。
b.性別:男性に比較的多い。
c.尿所見:たんぱく尿は軽度から高度で、分子量を選ばず各種のたんぱくがみられる。血尿はみられても軽度。
d.発症形式:無症候性たんぱく尿である頻度が高いが、ネフローゼ症候群で発症することも多い。
e.高血圧:進行した膜性腎症に多い。
f.基礎疾患:悪性腫瘍、B型肝炎を含む感染症などの基礎疾患の有無を確認し、続発性の膜性腎症かどうかの注意が必要。
②病理形態学的特徴
 確定診断は、腎生検所見により行なう。光学顕微鏡所見では、糸球体のヘンレ係蹄壁のびまん性(広範囲の)肥厚と、PAM染色検査でヘンレ係蹄壁の細胞が糸球体上皮側へ向かっているのがみられる。蛍光抗体法所見では、IgGとC3からなる免疫複合体のヘンレ係蹄壁にそった顆粒状沈着がみられる。電子顕微鏡所見では、糸球体上皮の下に電子密度の高い沈着物があり、そのすきまをうめるように基底膜の肥厚がみられる。
資料/第38回日本腎臓学会学術総会記念:腎臓病学の診断アプローチ)

出典 小学館家庭医学館について 情報