腺癌(読み)センガン

デジタル大辞泉 「腺癌」の意味・読み・例文・類語

せん‐がん【腺×癌】

各種臓器分泌腺組織に発生する癌。また、癌細胞のような構造に配列している癌。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「腺癌」の意味・わかりやすい解説

腺癌
せんがん

悪性上皮性腫瘍(しゅよう)すなわち癌腫(がんしゅ)(癌)を組織学的に分類した一型。癌細胞がある程度分化していて、癌実質の構造が一般的上皮構造に類似している群のうち、腺上皮に類似しているものを腺癌という。つまり、腺上皮に類似した癌細胞が管腔(かんくう)を囲んで腺様構造を示すもので、癌細胞の形によって、円柱上皮癌、立方上皮癌とに分けられ、さらに腺状構造の型によって、管状腺癌、腺房状腺癌、濾胞(ろほう)状腺癌、乳頭状腺癌とに分類される。

 腺癌の母組織は腺(ある種の物質を分泌・排泄(はいせつ)する細胞組織)であるため、腺上皮・腺を含む組織および臓器のすべてから発生するが、とくに胃、腸、肺、乳腺甲状腺子宮などに好んで発生する。腺癌に相当する腺の良性腫瘍腺腫というが、このうち、生物学的に悪性の状態を示すものを悪性腺腫とよび、腺癌と区別する場合もある。腺癌の一部に扁平(へんぺい)上皮様構造を有するものを腺類癌、粘液分泌が著明なものを膠様(こうよう)癌という。

渡辺 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腺癌」の意味・わかりやすい解説

腺癌
せんがん
adenocarcinoma

腺を構成している細胞から発生する癌。胃腸,子宮,胆嚢,甲状腺,肺,乳腺などに発生するものは,ほとんどすべて腺癌である。腺上皮から発生した腫瘍細胞は,円柱状または立方状をして管腔を形成していることが多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の腺癌の言及

【癌】より

…それゆえ発生母細胞に従ってさらに分類がなされている。皮膚や食道など扁平上皮領域からは扁平上皮癌が,消化管の円柱上皮や腺上皮からは腺癌が,膀胱の移行上皮からは移行上皮癌が生じる。対応する良性腫瘍は,乳頭腫(扁平上皮腫というべきところであるが乳頭腫が慣用されている)や腺腫である。…

【肺癌】より

…さらに,最近,肺癌による死亡が増加し,1993年には,男性では遂に癌死亡の第1位となり,女性では胃癌,大腸癌に次いで第3位を占めている。原発性肺癌のおもな種類としては,扁平上皮癌,腺癌および未分化癌(大細胞癌および小細胞癌)があげられ,このほかに若干のまれな癌が存在する。それぞれの癌の間では性質が相当異なる。…

※「腺癌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android