腺病質(読み)せんびょうしつ

精選版 日本国語大辞典 「腺病質」の意味・読み・例文・類語

せんびょう‐しつ センビャウ‥【腺病質】

〘名〙 体格繊弱で胸郭扁平、筋肉発育が悪く貧血に傾き、神経質な小児体質をいう。元来はこのような体質の小児に結核が多く、頸部リンパ腺結核を伴うことが多かったところからの俗称。
※黴(1911)〈徳田秋声四九笹村は腺病質の細いその頸筋を気にした」

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デジタル大辞泉 「腺病質」の意味・読み・例文・類語

せんびょう‐しつ〔センビヤウ‐〕【腺病質】

体格が貧弱で貧血ぎみの、虚弱で神経質な子供の体質。頸部けいぶリンパ節結核のみられることが多かったところからの称。現在ほとんど用いられない。

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改訂新版 世界大百科事典 「腺病質」の意味・わかりやすい解説

腺病質 (せんびょうしつ)

俗語としては,結核にかかりやすい弱々しい体質という程度の意味で用いられてきた。医学用語としてはscrofulosis訳語で,結核感染に関連したアレルギー反応による症候群とされており,小児とくに幼児期にみられるものである。症状は,湿疹,眼のフリクテン(星目ともいう。角膜病気)や結膜炎眼瞼炎鼻炎,口唇炎などとともに,頸部その他のリンパ腺が腫張し,特有の顔貌を呈する。近年における結核の激減によって,このような患者をみることはなくなった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腺病質」の意味・わかりやすい解説

腺病質
せんびょうしつ

体格が細く、一般に弱い体とみなされ、頸(けい)部のリンパ節が腫(は)れているような小児に対して、昔から俗に用いられていたことばであるが、医学的には明らかな概念をもっていない。欧米の医学用語としては、いわゆる「るいれき(瘰癧)」がこれにあたる。るいれきとは、小児、とくに胸腺リンパ体質の子供の頸部リンパ節が結核性病変のために腫脹(しゅちょう)したものをさし、皮膚の湿疹(しっしん)、目の角膜におこる小結節すなわちフリクテン、口唇および鼻粘膜の炎症などの病変を伴って特異な顔つきになることを意味している。

[渡辺 裕]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腺病質」の意味・わかりやすい解説

腺病質
せんびょうしつ
scrofulosis

骨細で胸部の扁平な,頸部リンパ節がはれやすい,いわゆる無力体質,あるいは神経質など,虚弱児の状態を総称していう場合が多い。通俗的に,病気ではないが病気になりやすい子供のことをいう。以前は滲出性,アレルギー性,あるいは胸腺リンパ体質の小児が結核に感染した状態を呼んだこともあった。医学的には明確な概念ではない。

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