腰椎穿刺検査(脳脊髄液検査)(読み)ようついせんしけんさ

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 の解説

腰椎穿刺検査(脳脊髄液検査)


脳や髄膜の変化が疑われる場合に行う検査です。局所麻酔を行うので、検査中の痛みはありません。検査後、枕を使わずに1~2時間、上向きで安静にします。

髄膜炎やクモ膜下出血などの診断に行う検査

 脊髄せきずいは、脳幹から腰へと伸びているひも状の組織で、脳と脊髄頭蓋骨脊柱という骨によって守られています。この組織と骨の間に流れている透明な液体を、脳脊髄液あるいは髄液といいます。

 腰椎穿刺せんしは、この髄液を腰部の脊髄くうに針を刺して調べる検査で、激しい頭痛や嘔吐おうと発熱などの症状があって脳や髄膜の変化が疑われたとき、すなわち髄膜炎脳腫瘍クモ膜下出血などの診断をするときに行います。

 また、虫垂炎の手術のときに行う腰椎麻酔腰椎穿刺で行います。

髄膜炎では髄液の圧が上昇

 細菌やウイルスが髄膜に感染して髄膜炎をおこすと、正常圧70~180mmH2Oの髄液圧が200mmH2O以上に上昇します。

 髄液中の細胞数も増加し、原因が細菌では多核球、ウイルスではリンパ球が増えています。

 髄液中の糖の値も重要で、細菌性では細菌による糖の分解で、糖の数値が減少します。ウイルス性では減少していません。

両手で両膝を抱えて検査

 左側臥位そくがいになり、両膝頭を腹部につくように曲げ、両手でその両膝を抱えます。頭は前胸部に寄せ、腰を後ろに突き出してエビのような格好になります。この姿勢は、針を刺す椎間腔ついかんくうが広くなり、いちばん穿刺しやすい格好になるので重要です。第3、第4腰椎間を穿刺します。

 姿勢ができたら、穿刺する部位を消毒し、局所麻酔薬を注射します。チクッとした痛みはありますが、すぐに麻酔が効き、局所の痛みは感じなくなります。穿刺針が入ってくるとき、痛みはありませんが、圧迫される感じはあります。穿刺針が神経に触ると足がビリッとします。

 脊髄腔に針先が入ったら髄液の圧力を計り、細胞数や蛋白、糖を測定するため、5~6mℓの髄液をとります。圧を測定したり髄液を採取するとき、痛みはありません。検査は5~6分で終了します。検査後、枕をしないで1~2時間、上向きで安静にしています。

症状があったら医師に伝える

 検査当日の飲食は普通にとってかまいません。検査後、頭痛やけい部痛、背部痛、腰痛、複視などの症状が出る場合があります。一般に数日以内に回復しますが、なんらかの症状がみられたら医師に伝えてください。

 髄膜炎では、治療中(2~3週後)に治ったことの確認のため、腰椎穿刺の再検査を行います。検査は、繰り返し行っても危険はありません。

■髄液の検査結果

《正 常》

 [液 圧]70~180mmH2O

 [外 観]水様透明

 [細胞数]0~5/mm3(おもにリンパ球)

 [ 糖 ]50~75mg/dℓ

 [蛋 白]10~40mg/dℓ

《細菌性髄膜炎》

 [液 圧]上昇

 [外 観]水様透明~混濁

 [細胞数]高度上昇(おもに多核球)

 [ 糖 ]減少

 [蛋 白]上昇

《ウイルス性髄膜炎》

 [液 圧]上昇

 [外 観]水様透明

 [細胞数]上昇(おもにリンパ球)

 [ 糖 ]不変

 [蛋 白]軽度上昇

《クモ膜下出血》

 [液 圧]高度上昇

 [外 観]血性~黄

 [細胞数]軽度上昇(おもにリンパ球)

 [ 糖 ]減少

 [蛋 白]高度上昇

疑われるおもな病気の追加検査は

◆髄膜炎→頭部CT、MRなど

◆脳腫瘍→頭部CT、MR、PET-CT、頭部血管造影、眼底検査など

◆クモ膜下出血→頭部CT、MRなど

医師が使う一般用語
「ルンバール」=lumbar puncture(腰椎穿刺)のlumbarから

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

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