腰巾着(読み)コシギンチャク

デジタル大辞泉 「腰巾着」の意味・読み・例文・類語

こし‐ぎんちゃく【腰巾着】

腰につける巾着
いつも、ある人の身辺を離れないで付き従っている人。現代では多く、目上の人に付き従い、御機嫌をとる者をあざける気持ちでいう。「部長腰巾着
[類語]ポーチウエストポーチ巾着

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精選版 日本国語大辞典 「腰巾着」の意味・読み・例文・類語

こし‐ぎんちゃく【腰巾着】

〘名〙
① 腰に付ける巾着。
※俳諧・類船集(1676)禰「ねらふ。獣狩、的矢(まとや)〈略〉猫の鼠・鷺か(どぢゃう)・腰巾着(コシギンチャク)
② いつもある人につき従ってそばを離れない者。現在は、多く、目上の人の御機嫌をうかがいながら、つき従っている者についていう。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「私が湯へ来るにも腰巾着(コシギンチャク)だ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腰巾着」の意味・わかりやすい解説

腰巾着
こしぎんちゃく

金銭守り札、薬その他の小物を入れ、腰に下げて携行する巾着。江戸時代初期、女子は鼻紙袋として巾着を持ったが、男子はこれを腰に下げて用いた。このことから、つねにだれかの傍らに付き添って歩き、用を足したり、目上の人の機嫌をうかがったりする者を腰巾着というようになった。また腰巾着は、帯に挟んで腰に下げるのに便利で、落ちないように紐(ひも)の先に根付(ねつけ)をつけるが、これから腰巾着の者たちを根付衆とよぶようになった。

[佐藤農人]

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世界大百科事典(旧版)内の腰巾着の言及

【巾着】より

…江戸時代末期になると女夫(めおと)巾着といって守袋と銭入れを兼ねたちりめん製のものが考案され,婦女子の間に人気をよんだ。当時巾着に金銭を入れたところから,これをすりとる者を巾着切りといい,また絶えず人について歩いている人のことを腰巾着とよぶ言葉さえ生まれた。民間の俗信として除夜の鐘の打ち終わらぬ間に巾着をつくると金に不自由しないといい,正月の子どものお年玉としてこれをつくる習俗があった。…

※「腰巾着」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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