脳脊髄液減少症(読み)ノウセキズイエキゲンショウショウ

デジタル大辞泉 「脳脊髄液減少症」の意味・読み・例文・類語

のうせきずいえき‐げんしょうしょう〔ナウセキズイエキゲンセウシヤウ〕【脳脊髄液減少症】

脳脊髄液漏出・産生低下などによって減少することにより、頭痛頸部痛・めまい耳鳴りなどの症状が起こる病気髄液が漏れている部分硬膜外腔に患者自身の血液を注入し凝固させて塞ぐ、ブラッドパッチと呼ばれる治療が行われている。低髄液圧症候群

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「脳脊髄液減少症」の意味・わかりやすい解説

脳脊髄液減少症
のうせきずいえきげんしょうしょう

脊髄液(髄液)の産生低下や、脳と脊髄を包む硬膜を満たしている髄液が外に漏れ出すことによって減少する病態。低髄液圧症候群ともいい、髄液が漏れ出して硬膜外に貯留する病態をとくに脳脊髄液漏出症ということもある。原因としては頭部外傷スポーツ外傷、交通事故の後遺症むち打ち損傷)、腰椎穿刺(ようついせんし)などがあげられる。症状は立ち上がったときに頭痛が起こる起立性頭痛、頸部(けいぶ)痛、吐き気、めまい、耳鳴りなどで、腰椎穿刺後にはとくに起立性頭痛がよくみられる。治療は臥床(がしょう)安静や水分摂取のほか、髄液漏出を確認した場合は硬膜外から自家血を注入して漏出部位をふさぐブラッドパッチを行う。

[編集部]

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知恵蔵 「脳脊髄液減少症」の解説

脳脊髄液減少症

追突事故などの交通事故によるむち打ち症やスポーツ外傷などで、脳を覆っている硬膜に小さな穴が開き、脳と脊髄の周囲を循環している脳脊髄液が漏れ出して、髄液圧が低下し、様々な症状を伴う症候群。原因が不明の場合もある。多くは頭痛、頸部痛、背部痛、腰痛、めまい、耳鳴り、記憶障害、吐き気などを伴う。一般に、これらの症状は起立している時や座っている時に症状が増幅し、横たわると症状が軽快するという特徴がある。また、天候に左右されるなど、症状の変化が激しい。治療法としては、一般には安静だけでよくなることも多いが、長期間にわたる場合は硬膜外空に血液を注入し、血液を固まらせることによって穴をふさぐ方法がとられる。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

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