脳梁欠損症

内科学 第10版 「脳梁欠損症」の解説

脳梁欠損症(先天奇形)

(6)脳梁欠損症(agensis of corpus callosum)(図15-13-7)
概念
 脳梁欠損は脳の構造異常のなかでも頻度が高く,単独でみられる場合と,ほかの脳の構造異常や身体臓器の異常を伴っている場合がある.完全欠損している場合以外に,吻側の部分のみが形成され背側が欠損している場合がある.原因としては染色体異常や先天代謝異常,外因として胎児アルコール症候群などがあげられる.
臨床症状
 胎児超音波検査などで偶然発見された脳梁欠損で特に合併する奇形がない場合には,無症状である場合もある.ただし,正常な知的発達を示す場合でも,社会性や行動面の問題がある場合も指摘されている.皮質形成異常などの大脳皮質など,ほかの構造異常を伴う場合には,精神遅滞脳性麻痺,てんかんなどを呈する.
診断
 胎児期の超音波検査では,胎生20週以降であれば脳梁の評価が可能となる.側脳室の形態が,著明に拡張した後角部に対しアンバランスに狭小化した前角を伴うcolpocephalyの所見が本症に特徴的である.最終的な診断は頭部MRI検査にて,脳梁および周囲脳回の構造異常を確認するとともに,冠状断でのProbst束の観察が有用である.半球間裂囊胞,脂肪腫,脳回形成異常,ChiariⅡ奇形,Dandy-Walker奇形などの合併する所見の有無をあわせて確認する.[岡 明]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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