脱脂大豆(読み)ダッシダイズ

デジタル大辞泉 「脱脂大豆」の意味・読み・例文・類語

だっし‐だいず〔‐ダイヅ〕【脱脂大豆】

大豆から脂肪を取ったあとのもの。大豆たんぱく・味噌醤油などの原料や、飼料肥料として用いる。大豆かす豆粕

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「脱脂大豆」の意味・読み・例文・類語

だっし‐だいず ‥ダイヅ【脱脂大豆】

〘名〙 大豆から油を搾り取った粕。蛋白質含有量が高く(四一~四四パーセント)、蛋白質源として特に重要。味噌、醤油、菓子、腸詰めなどの原料。飼料、化学調味料、プラスチック接着剤などにも広く用いられる。大豆粕。豆粕。
※焼け跡闇市派宣言(1969)〈野坂昭如〉七「脱脂大豆のフライパンで煎ったのなど与えると」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「脱脂大豆」の意味・わかりやすい解説

脱脂大豆
だっしだいず

脱脂処理大豆ともいう。ダイズに含まれる脂肪を取り除いたもの。種皮付きのものと、脱皮したものがある。大豆油製造の際の副産物で、大豆油かす、大豆かすともよばれた。おもな用途は飼料であるが、大豆タンパクや食品加工など用途が広くなってきている。

河野友美

製造と利用

乾燥大豆には約20%の脂肪が含まれている。この脂肪をダイズから取り出すのに圧搾法と溶出法がある。圧搾法では油の収量が低いため近年はヘキサンなどの溶媒を用いた溶出法が用いられ、脱脂大豆には1~2%の脂肪しか残らない。溶出後、溶媒を取り除くために加熱されるが、このときの処理法によって、脱脂大豆の品質が左右される。つまり加熱することによって、脱脂大豆に含まれるタンパク質が熱変性を受ける。この熱変性の程度によって、得られた脱脂大豆を未変性、低温変性、高温変性に分けることができる。脱脂大豆が飼料として使われる場合には熱変性は問題にならないが、食品加工素材(しょうゆみそアミノ酸液など)や大豆タンパク用では未変性あるいは低温変性のものが必要である。さらに、脱溶剤の処理法によって大豆臭を少なくすることもできる。

 脱脂大豆はフレークや粉末状のものとして製品化される。用途によって、脂肪を再添加した低脂大豆粉や、レシチン添加大豆粉などに再加工されることもある。脱脂大豆を原料に大豆タンパクや大豆タンパク食品などもつくられている。また、しょうゆ、みその材料としても使われる。脱脂大豆の利用が飼料以外に拡大するにつれ、用途にあった品質に脱脂加工されるようになってきている。

[河野友美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「脱脂大豆」の意味・わかりやすい解説

脱脂大豆
だっしだいず
defatted soybean

大豆から大豆油を抽出した残りで,薄片状となっているのが普通。蛋白質に富むが,大豆油抽出工程で高温を受けて蛋白質が変性している場合と,低温で処理して変性していないものとがある。用途は飼料用が多く,食料用にもなる。以前は窒素肥料として使われたが,化学窒素肥料の普及によって,肥料用よりも飼料用として使われる。食料用としては,低温処理の脱脂大豆が好まれ,味噌,醤油,豆腐,アミノ酸,調味料などの原料や大豆蛋白カードにし,あるいは加工を施してパン,菓子,ソーセージなどにも混入して用いる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android