能化(読み)のうけ

精選版 日本国語大辞典 「能化」の意味・読み・例文・類語

のう‐け【能化】

〘名〙 (「のうげ」とも)
仏語。師として他を教化できる者。主として仏菩薩をさす。
法華義疏(7C前)二「我及諸子若不時出。必為所焼者。我譬能化仏、諸子譬所化衆生」 〔法華文句‐二下〕
② 一宗派長老学頭などを称し、真言宗では一山の総主、真宗では本願寺派で学頭職をいう。
※御当家令条‐八・関東真言宗古義諸法度・慶長一四年(1609)八月二八日「雖本寺住山、不所学者、不能化事」
③ 特にすぐれた僧。寺院、宗派の指導者。
※玉塵抄(1563)二七「その郡や村県にちっとも学の方の材ある者をばすすめて京えのぼせて学問所の能化(のうケ)や物をひろう知た博士先生に付て学問させたぞ」
④ 他をよく導く者。指導者。
浮世草子傾城禁短気(1711)五「能化(ノウケ)の姉女郎寄掛て聴聞あり」

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デジタル大辞泉 「能化」の意味・読み・例文・類語

のう‐け【能化】

《「のうげ」とも》仏語。
師として教え導く者。衆生を教化する菩薩ぼさつをいう。⇔所化しょけ
一宗派の長老学頭などのこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「能化」の意味・わかりやすい解説

能化
のうけ

人を能(よ)く教化する者の意。教化されるほうを所化(しょけ)といい、一切衆生(いっさいしゅじょう)がそれにあたるが、能化は彼らを指導する立場にある仏や菩薩(ぼさつ)をさす。

高橋 壯]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能化」の意味・わかりやすい解説

能化
のうけ

仏教用語。仏教の教えを説き,人々を正しい教えに転向させる人。所化 (しょけ) の対。また日本では,一つの宗派の長老,学頭または最高の地位の人をいう。

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世界大百科事典(旧版)内の能化の言及

【住職】より

…たとえば,皇室ゆかりの名刹では,平安時代から勅許によって門跡(門主)の称が許され,いわゆる門跡寺院が現れた。また,延暦寺は座主(ざす),園城(おんじよう)寺(三井寺)は長吏,東寺は長者,西大寺は長老,本願寺は法主(または門跡),東大寺,興福寺,法隆寺は別当,日蓮宗諸本山は貫主(かんじゆ)(貫首),近世の檀林などの宗学研鑚の寺では能化(のうけ),化主などと,その寺独自の呼称があった。そして,近代ではこれら大寺院は宗派を超えて管長と称すことも多い。…

※「能化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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