胡瓜・黄瓜(読み)きゅうり

精選版 日本国語大辞典 「胡瓜・黄瓜」の意味・読み・例文・類語

きゅうり きうり【胡瓜・黄瓜】

〘名〙 ウリ科のつる性一年草。原産地は東インドといわれ、古くから世界各地で栽培されている。茎は細長く、葉腋に巻きひげがあり、他の物にからんで上に伸びる。全体に刺(とげ)状の毛を密布する。葉は長い柄をもち互生する。心臓形で掌状に三~五浅裂し、初夏、葉腋に黄色の五弁花が咲く。果実は長円柱形で刺をもち、黄熟する。重要な野菜として生食され、多数の品種がある。きうり。そばうり。《季・夏》
※十巻本和名抄(934頃)九「胡瓜 孟詵食経云胡瓜〈曾波宇利 俗用歧宇利〉寒不可多食動寒発瘧病者也」
※俳諧・俳諧袋(1801)夏「胡瓜いでて市(いち)四五日のみどりかな」
[語誌](1)インドでは三千年以前より栽培。また「旧約聖書」の民数記にもその名が登場する植物。中国へは漢の頃、張騫が西域から持ち込んだと伝えられ、そのため、「胡瓜」と表記されたという。
(2)「Qiuri(キウリ)」〔日葡〕、「Qivri(キウリ)」〔羅葡日〕の例から考えるとキューリという長音でなく、キ・ウ・リと発音されたと考えられる。
(3)「和名抄」に記載されていること、平城宮跡から種子が出土したことなどから、日本へは一〇世紀以前に伝来したとされる。この品種は、東南アジア、中国南部経由の華南型で、日本では、長い間、完熟したものを食しており、近世までは野菜として重視されなかった。明治以降、中国北部経由の華北型が導入され、各地に広まった。
(4)水神と関係する祇園信仰と結びついており、祭で初物キュウリを供え、川に流す風習が広く見られる。河童好物とされるのも水神信仰とかかわる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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