胡安国(読み)コアンコク

デジタル大辞泉 「胡安国」の意味・読み・例文・類語

こ‐あんこく【胡安国】

[1074~1138]中国代の学者崇安すうあん福建省)の人。あざなは康侯。「春秋」を二十余年研究高宗の命により「春秋胡氏伝」30巻を編纂

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「胡安国」の意味・読み・例文・類語

こ‐あんこく【胡安国】

中国、宋代の学者。字(あざな)は康侯。諡(おくりな)は文定。武夷先生と呼ばれた。福建崇安(すうあん)の人。湖南学派大儒哲宗のとき太学博士に選ばれ、高宗のとき中書舎人となる。著書「春秋伝」「通鑑挙要補遺」。(一〇七四‐一一三八

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胡安国」の意味・わかりやすい解説

胡安国
こあんこく
(1074―1138)

中国、宋(そう)の思想家。字(あざな)は康侯(こうこう)。諡(おくりな)は文定(ぶんてい)、武夷(ぶい)先生とよばれた。建州(けんしゅう)崇安(すうあん)(福建省)の人。北宋、1097年(紹聖4)の進士。官職は太学博士より累官して給事中(きゅうじちゅう)(侍従職)に至る。安国は宋学本流の二程(程顥(ていこう)、程頤(ていい))に私淑して、独自の学風樹立、胡氏一門には寅(いん)(1098―1156)、宏(こう)(1106―1162)らの大儒が出た。これを胡氏湖南学(こしこなんがく)といい、再伝して朱熹(しゅき)(朱子)、張栻(ちょうしょく)らが輩出した。著作には『武夷集』『資治通鑑挙要補遺(しじつがんきょようほい)』(以上亡逸)、『春秋伝』30巻などがある。『春秋胡氏伝』は南宋初の激動期に完成。民族主義的情熱としての攘夷復讐(じょういふくしゅう)論の色合いが濃く、清(しん)朝になって廃されたが、元(げん)・明(みん)時代では『春秋』の三伝(さんでん)(『左氏伝』『公羊伝(くようでん)』『穀梁伝(こくりょうでん)』)に並ぶ経伝(けいでん)として重んじられ、広く盛行した。

福田 殖 2016年2月17日]

『楠本正継著『宋明時代儒学思想の研究』(1962/改定版・1964・広池学園出版部)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「胡安国」の意味・わかりやすい解説

胡安国 (こあんこく)
Hú Ān guó
生没年:1074-1138

中国宋代の思想家。字は康侯,文定はその諡(おくりな)。建寧崇安(福建省北西)の人。湖南学派重鎮。胡寅(こいん)(致堂)・胡宏(五峯)の父。楊時(亀山),謝良佐(上蔡),游酢(ゆうさく)(廌(ち)山)らと交友して影響を受く。その主著《春秋胡氏伝》は南宋時代に入って成ったもので,そこには北方を異民族に奪われた憂憤の情がたぎっているといわれるが,元・明時代には科挙のテキストに採用された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胡安国」の意味・わかりやすい解説

胡安国
こあんこく
Hu An-guo

[生]煕寧7(1074)
[没]紹興8(1138)
中国,宋の儒学者。福建の人。字は康侯。武夷先生と称された。南宋,高宗の侍講。『春秋』の研究に意を用い,独自の解釈を施して孫明復の『春秋尊王発微』とともに宋代春秋学を代表する『春秋伝』 (30巻) を著わした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android