胡也頻(読み)こやひん

精選版 日本国語大辞典 「胡也頻」の意味・読み・例文・類語

こ‐やひん【胡也頻】

中国作家本名は胡崇軒丁玲の夫。福建福州の人。左連五烈士の一人。一九二四年、北京で「民衆文芸週刊」を編集。一九三〇年、共産党員となり、翌年国民党逮捕、銃殺された。作品は「也頻詩選」「モスクワへ」など。(一九〇三‐三一

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胡也頻」の意味・わかりやすい解説

胡也頻
こやひん / フーイエピン
(1903―1931)

中国の作家。「左連五烈士」の一人。本名崇軒。福建(ふっけん/フーチエン)省福州(ふくしゅうフーチョウ)市の京劇座頭(ざがしら)の家に生まれる。貴金属店の丁稚(でっち)をしたり、海軍の学校に学んだりしたのち、北京(ペキン)に出て文学を志し、編集者をしながら詩、小説を執筆。そのなかで沈従文(しんじゅうぶん/シェンツォンウェン)、丁玲(ていれい/ティンリン)らと知り、25年丁玲と結婚した。28年上海(シャンハイ)へ出たが、経済的理由で30年済南(さいなん/チーナン)の中学教師になった。このころから急速にマルクス主義に接近、身辺が危険になって同年5月には上海に戻り、左翼作家連盟共産党に加盟。31年1月柔石(じゅうせき/ロウシー)、殷夫(いんふ/インフー)らとともに逮捕され、2月7日上海の竜華で処刑された。中編小説『モスクワへ』『光は我らの前に』(ともに1930)のほか、詩、短編などがあり、『胡也頻選集』(1981)にまとめられている。

丸山 昇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胡也頻」の意味・わかりやすい解説

胡也頻
こやひん
Hu Ye-pin

[生]光緒29(1903).5.4.
[没]1931.2.7.
中国の小説家。福建省の人。本名,胡崇軒。筆名,沈黙,何一平など。海軍学校修了後,1918年頃北京に出て雑誌『現代評論』に恋愛詩などを寄稿し,丁玲と結婚。 27年頃上海に移り,丁玲,沈従文らと『紅黒月刊』の編集などに従事したが,やがて共産党に入党,左翼作家連盟の活動に参加した。 31年国民党の白色テロのため,柔石,殷夫らとともに銃殺された。作品『モスクワへ』 (1929) ,『光明は近い』 (30) など。

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世界大百科事典(旧版)内の胡也頻の言及

【丁玲】より

…父は大地主であったが,丁玲は幼時に父と死別,小学校教員となった母に育てられた。上海の平民女学校などを経て,1924年北京に出,胡也頻(1903‐31)と知り合い同居,文学に傾き,27年小説《夢珂》《莎菲女士の日記》を《小説月報》に投稿して認められた。2作ともに若い知識人女性の愛と内面生活を描いて虚無的情緒をもつ。…

※「胡也頻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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