胞子虫(読み)ホウシチュウ

デジタル大辞泉 「胞子虫」の意味・読み・例文・類語

ほうし‐ちゅう〔ハウシ‐〕【胞子虫】

胞子虫綱原生動物総称。寄生性で、栄養体表を通して宿主から摂取分裂による無性生殖ほか有性生殖も行って新宿主への感染型の胞子を形成する。マラリア病原虫グレガリナ・ピロプラズマなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「胞子虫」の意味・わかりやすい解説

胞子虫 (ほうしちゅう)

胞子虫綱Sporozoaに属する原生動物の総称。各種の脊椎・無脊椎動物の細胞内外に寄生し,害を与えるものが多い。胞子虫類の形態はきわめて多様であるが,体には円錐体と極環があり,また外皮のすぐ内側には微小管がほとんど体全長にわたって走っている。このほかにゴルジ体ミトコンドリアなど多くの細胞小器官が存在する。特別な運動器官はもたない。一般に無性生殖と有性生殖との世代交番が見られ,生活環の中で胞子を生じて増殖する。有性世代と無性世代とがそれぞれ別の型の宿主の中に生ずる場合と一つの同一型の宿主の中に生ずる場合とがある。なかには有性生殖のみのものもある。

 有性生殖で接合子から生じた胞子の形態などでグレガリナ,肉胞子虫,微胞子虫など,いくつかの群に分けている。マラリア原虫Plasmodiumハマダラカによって媒介され,人体の赤血球に入った種虫は複分裂増員を行って娘虫が赤血球外にでるとき高熱を発する。このほかにトキソプラズマ症を起こすトキソプラズマToxoplasma gondii,ニワトリのコクシジウム症のエイメリアEimeriaカイコの微粒子病のNosemaなど多くの種類がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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