胞子葉(読み)ほうしよう(英語表記)sporophyll

翻訳|sporophyll

精選版 日本国語大辞典 「胞子葉」の意味・読み・例文・類語

ほうし‐よう ハウシエフ【胞子葉】

〘名〙 胞子を生じる葉。シダ植物では大胞子葉小胞子葉被子植物では心皮雄しべ区別する。一般に普通葉とは形態機能とも異なるが、シダ植物の中には普通葉と同じ形態をし、光合成も行なうなど同じ機能を営むものもある。実葉(じつよう)

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デジタル大辞泉 「胞子葉」の意味・読み・例文・類語

ほうし‐よう〔ハウシエフ〕【胞子葉】

組織一部から胞子をつくる葉。シダ植物にみられるものをいうが、広くは種子植物心皮雄しべなども含まれる。実葉。芽胞葉。→栄養葉

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改訂新版 世界大百科事典 「胞子葉」の意味・わかりやすい解説

胞子葉 (ほうしよう)
sporophyll

実葉ともいう。胞子囊を生じる葉または葉的器官。普通葉と同じく,茎の側生器官である。普通葉と同形のもの(トウゲシバワラビなど)もあるが,普通は多少とも異なる(ヒカゲノカズラ,トクサゼンマイイヌガンソク,水生シダなどのシダ植物,種子植物)。イワヒバ,ミズニラ,種子植物など異形胞子をもつ植物では大胞子葉と小胞子葉がある。トクサ,イチョウなどの独特な形をしたものはしばしば胞子囊托とよばれる。種子植物の胞子葉は最終的に種子または花粉をつくる。裸子植物の胞子葉はさまざまで,ソテツの普通葉にやや似た胞子葉,針葉樹(球果類)の雌雄の球果の鱗片,イチョウの軸状の胞子囊托などがある。石炭紀シダ種子類はシダ的な葉に種子をつけていた。被子植物の胞子葉はめしべ(心皮)とおしべで,心皮は大胞子葉が胚珠を包むように特殊化してできたと考えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胞子葉」の意味・わかりやすい解説

胞子葉
ほうしよう

胞子を形成する機能を有する葉の総称で、実葉ともいい、栄養葉(裸葉)の対語。同形胞子(大きさのうえで雌雄性の区別がない胞子)を生じる大多数のシダ類では、胞子葉と栄養葉との間に形態的、機能的差異があまり顕著でない場合が多い。このような胞子葉は、葉緑体をもち、胞子散布後は栄養葉としての機能を果たすものが多いので、栄養胞子葉とよばれる。同形胞子を生じるシダ類でも、ゼンマイ科、ハナワラビ科、キジノオシダ科、シシガシラ属などでは、胞子葉と栄養葉とが分化しており、胞子葉は胞子散布後に枯れるか、または葉としての機能を失う。異形胞子(雌雄性によって大きさなどに区別がある胞子)を生じるシダ植物では、大胞子のみを生じる大胞子葉、小胞子のみを生じる小胞子葉とが区別される。これらは、それぞれ種子植物の心皮(しんぴ)と雄蕊(ゆうずい)に相当する。またコンブ類の一部では、真正の葉ではないが、生殖細胞群を生じる葉状体の部分を胞子葉とよぶことがある。

[安田啓祐]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胞子葉」の意味・わかりやすい解説

胞子葉
ほうしよう
sporophyll

普通葉に対し胞子を形成する葉のこと。実葉,芽胞葉ということもある。シダ植物では,大部分の成熟した葉は胞子葉であり,大胞子葉と小胞子葉に区別される。被子植物では心皮とおしべ (雄ずい) がこれに相当する。

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