背負(読み)せおう

精選版 日本国語大辞典 「背負」の意味・読み・例文・類語

せ‐お・う ‥おふ【背負】

〘他ワ五(ハ四)〙
① 背中にのせる。背中に負う。しょう
平家(13C前)一一「粮料せをうて奥州へ落ちまどひし小冠者が事か」
※俳諧・笈の小文(1690‐91頃)「かみこ壱つ、合羽やうの物、硯、筆、かみ、薬等、昼笥(ひるげ)なんど物に包て、後に背負たれば」
② 不利な条件の物事を引き受ける。責任などをひっかぶる。不本意なことがらを受け入れる。しょう。
※却癈忘記(1235)上「自の罪は各々せをいておはしますべき也」
※読書放浪(1933)〈内田魯庵〉銀座と築地の憶出「新富座の債務を背負って窮境どん底に落ちてゐた」
③ あるものが背後になるような位置に場所を占める。
※写生紀行(1922)〈寺田寅彦〉「畑の中に点々と碁布した民家は、きまったやうに森を背負って西北の風を防いで居る」

しょ・う しょふ【背負】

〘他ワ五(ハ四)〙 (「せおう」の変化した語)
① 人が物を背にのせてささえ持つ。
※日蓮遺文‐千日尼御前御返事(1278)「阿仏房にひつをしをわせ夜中に度々御わたりありし事」
洒落本・船頭深話(1802)一「唐桟小風呂敷を背負(ショッ)てかたへかけた手拭
② 困難な物事、重大な責任、迷惑な仕事などを引き受ける。負担する。しょいこむ。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「おちゃぴいとおてんばをネ、一人で背負(ショッ)てをります」
③ (「しょっている」「しょってる」の形で自動詞的に用い) 自分を実際以上にすぐれていると思い上がる。うぬぼれる。〔アルス新語辞典(1930)〕
競馬(1946)〈織田作之助〉「男前だと思って、本当にしょってゐるわ」

せ‐おい ‥おひ【背負】

〘名〙 荷物を背負って運ぶことを稼業とする労働者。江戸市中では無鑑札の背負の者を取締り、また二か月に一度幕府の御舂屋(おつきや)役儀勤めをさせた。背負稼ぎ。
※禁令考‐前集・第五・巻四九・貞享五年(1688)七月二三日「諸日用之者札なくして一切日用不可取、鳶口・手木之者持込、日用・車力并米舂・かるこ・せおひ、其外諸日用之者共」

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普及版 字通 「背負」の読み・字形・画数・意味

【背負】はいふ

そむく。

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