胃排出機能検査(読み)いはいしゅつきのうけんさ(英語表記)gastric emptying test

改訂新版 世界大百科事典 「胃排出機能検査」の意味・わかりやすい解説

胃排出機能検査 (いはいしゅつきのうけんさ)
gastric emptying test

口から食べた物は胃で貯蔵され,胃液と混ぜられ粥(かゆ)状となり幽門通り十二指腸へと送られる。これを胃排出といい,その機能を胃排出能という。胃排出機能検査は胃排出能すなわち胃の運動機能をしらべる検査の一つである。胃排出能を測定するには,バリウム造影法,胃管を用いる法,食べ物にアイソトープを加える方法があるが,胃で吸収されず腸管吸収のすみやかな薬物を用いる方法(アセトアミノフェン法)は他の方法にくらべて,簡便で客観性にすぐれている。これは,薬物を含んだ食べ物を食べた後,腸を経て血液中に出た薬物を測定し,薬物の血中濃度で表したものである。食欲不振,食後の胃のもたれ,吐き気などの症状は,胃排出能が衰えている場合によくみられる。病気との関係は,胃潰瘍は一般に胃排出が遅れ,食べ物が長時間胃に停滞し,逆に十二指腸潰瘍では胃液酸度が高いにもかかわらず胃排出能が強まっているといわれている。胃排出能をしらべることは,潰瘍をはじめ多くの消化器疾患の成因,治療法の確立,潰瘍の再発予防などに重要である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android