肝煎・肝入(読み)きもいり

精選版 日本国語大辞典 「肝煎・肝入」の意味・読み・例文・類語

きも‐いり【肝煎・肝入】

〘名〙 (「肝を煎る」すなわち「心づかいをする」の意から)
① (━する) あれこれ世話をすること。斡旋(あっせん)すること。また、その人。とりもち。世話役。〔文明本節用集(室町中)〕
※浮世草子・世間胸算用(1692)四「毎年のくれに借入の肝煎(キモイリ)して此間銀を取定まって」
※頑な今日(1963)〈島尾敏雄〉「会合が市役所の肝入(キモイ)りで催されることになっていて」
② 町や村の長。名主(なぬし)庄屋などをいう。
※吉川氏法度(1617)四六条「田地旱水損在所者、下代肝煎早々罷出」
③ 江戸幕府職制の一つ。同職の中で、頭だって職務を取り扱う者。「古事類苑」には、官職名として親王家肝煎、高家肝煎、普請方同心肝煎、餌差肝煎、寄合肝煎等の名が見えている。
※職掌録(18C中‐後)「京都年頭御使は、肝煎三人にて」
④ (━する) 奉公人、里子遊女などを周旋すること。また、それを業とする人。
※浮世草子・新色五巻書(1698)五「其子を養はかすに二百匁。肝(キモ)入が分一に廿一匁取」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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