(読み)あやかる

精選版 日本国語大辞典 「肖」の意味・読み・例文・類語

あやか・る【肖】

〘自ラ五(四)〙
① 揺れ動いて変化する。動揺する。変化する。
拾遺(1005‐07頃か)雑恋・一二五一「風はやみ峰のくず葉のともすればあやかりやすき人の心か〈よみ人しらず〉」
※海人刈藻物語(1271頃)二「女御殿はとくまゐらせ給へとあれど、人々は『あやかりやすき御さまを、今少し見奉り給へ』と」
感化されて、同様な状態になる。似る。多くは、しあわせな人に似て、自分もしあわせになるなど良い状態についていう。
八幡愚童訓(甲)(1308‐18頃)上「御腕に鞆を書て御弓を引給しに肖(アヤカ)て、皇子の御腕に鞆の形あり」
※虎明本狂言・財宝(室町末‐近世初)「お年にも、御くゎほうにもあやかるやうに、三人の者共に、名を付て下されひ」
文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉二「我がなした事でもないに、たたりを受る事などがある、夫は俗にあやかるといふ様な事で」
③ (疫病が)流行する。
多聞院日記‐弘治二年(1556)正月一三日「目赤はいかにもふさきて養生すへし。人にうつる物也。あやかるもの也」

あやかり【肖】

〘名〙 (動詞「あやかる(肖)」の連用形名詞化)
① 揺れ動いて変化すること。動揺すること。
※三体詩絶句鈔(1620)五「宴飲して樽前にてばし梅花落の失寵曲をばし歌ふな。あやかりかせうずらう」
② 感化されて、似たような状態になること。
朝倉宗滴話記(16C後)「其故は少々の事をも、神仏のとがめぞと思なし、心のあやかりに成ものに候」

あ・ゆ【肖】

〘自ヤ下二〙 似る。あやかる。あえる。
書紀(720)応神即位前「是、皇太后の雄しき装を為たまひて鞆を負(は)きたまへるに肖(アエ)たまへり〈肖、此をば阿叡(アエ)と云ふ〉」
源氏(1001‐14頃)帚木「そのたなばたの裁ち縫ふ方をのどめて長き契にぞあえまし」

あ・える【肖】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 ⇒あゆ(肖)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「肖」の意味・読み・例文・類語

しょう【肖】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]にる あやかる
もとのものに似る。似せる。「肖似肖像不肖
[名のり]あえ・あゆ・あれ・すえ・たか・のり・ゆき

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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