職原抄(読み)ショクゲンショウ

デジタル大辞泉 「職原抄」の意味・読み・例文・類語

しょくげんしょう〔シヨクゲンセウ〕【職原抄】

南北朝時代有職ゆうそく書。2巻。北畠親房著。興国元=暦応3年(1340)成立日本官職沿革漢文記述

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「職原抄」の意味・わかりやすい解説

職原抄
しょくげんしょう

常陸国(ひたちのくに)小田(おだ)城(茨城県つくば市小田)籠城(ろうじょう)中の北畠親房(きたばたけちかふさ)が、『神皇正統記(じんのうしょうとうき)』とともに著した官職研究書。2巻。職原鈔(しょう)とも表記する。令制(りょうせい)および令外官(りょうげのかん)について、その職制・起源沿革・補任(ぶにん)・昇進の次第などを詳説。1340年(興国1・暦応3)成立。著作の動機は、後村上(ごむらかみ)天皇の施政の参考に供するためとされるが、東国の豪族たちが親房の説得に対して官職の推挙を求めた事情も、考慮する必要があろう。『群書類従』(官職部)所収

熱田 公]

『塙保己一編『羣書類従 第4、5輯』2冊・3版訂正版(1960・続群書類従完成会)』『黒板伸夫著『摂関時代史論集』(1980・吉川弘文館)』『白山芳太郎著『職原鈔の基礎的研究』(1990・神道史学会)』『加地宏江著『中世歴史叙述の展開――『職原鈔』と後期軍記』(1999・吉川弘文館)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「職原抄」の解説

職原抄
しょくげんしょう

「明職」「官位抄」とも。有職(ゆうそく)故実書。2巻。北畠親房(ちかふさ)著。1340年(暦応3・興国元)成立。日本の官職制度について,官衙の別,由来,職員,官位,唐名などを詳細にのべる。任官のための家格や慣例の解説にも多くをさく。「神皇正統記」成立の翌年に,官職制度全体に注釈を加えたことは,親房の政治理念提示の一環と考えられる。奥書には執筆意図として「抄出之本意,初心に示す為なり」とあり,13歳で即位した後村上天皇に献じるのがおもな理由だったが,有力武士がこぞって任官を要望する時勢に対し,正しい慣例の権威を示す必要に迫られた事情も考えられる。「群書類従」所収。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職原抄」の意味・わかりやすい解説

職原抄
しょくげんしょう

有職書。2巻。北畠親房著。興国1=暦応3 (1340) 年成立。官位の沿革や補任,昇進について記したもので,親房が後村上天皇のために常陸小田城で筆をとったものといわれ,当時の官位制度などについての貴重な史料である。『群書類従』所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「職原抄」の解説

職原抄
しょくげんしょう

南北朝時代,北畠親房の著した有職 (ゆうそく) 書
1340年成立。上下2巻。令官および令外官 (りようげのかん) について,その起源・沿革・唐名・官職相当位階・任官の慣例などを記す。ことに沿革についての記述は,わが国制度史のはじめとも考えられ重要。『群書類従』に収録される。

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