聖金曜日の合意(読み)せいきんようびのごうい(英語表記)Good Friday Agreement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖金曜日の合意」の意味・わかりやすい解説

聖金曜日の合意
せいきんようびのごうい
Good Friday Agreement

北アイルランド紛争解決を目指し,1998年にイギリスアイルランド北アイルランドの間で結ばれた和平合意ベルファスト合意とも呼ばれる。1960年代末,北アイルランドで多数派のプロテスタント系住民と少数派のカトリック系住民が衝突を繰り返し,イギリス政府は都市部の暴動を鎮圧するため軍を投入,1990年初頭までカトリック系住民,プロテスタント系住民,イギリス警察および軍の間で爆弾テロや暗殺,暴動が続いた(→アイルランド共和軍)。1994年に暫定的な停戦が発表されたものの,その後も散発的に暴力事件が続いた。1996年6月,アイルランド,北アイルランドの諸政党およびイギリス政府の代表の間で多党間交渉が再開され,1998年の聖金曜日(→受難日)にあたる 4月10日,ベルファストで和平合意の調印にいたった。合意には,(1) 選挙によって選ばれ,地方自治の大部分を担う北アイルランド議会の設置,(2) アイルランド,北アイルランド両政府間のさまざまな問題に関して国境を越えて対処するための制度的取り決め,(3) イギリス,アイルランド両政府間の協議の継続,の三つの行政関係の制定が掲げられた。同 1998年5月22日,アイルランドと北アイルランドで 1918年以来初のアイルランド全住民参加による住民投票が行なわれ,この合意はアイルランドで 94%,北アイルランドで 71%の支持を得て承認された。しかし北アイルランドではカトリック系住民の支持率 96%に対し,プロテスタント系住民の支持率は 52%と大きな差があり,宗派間の対立の解決に向けた試みの難しさをうかがわせた。

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