聖書写本(読み)せいしょしゃほん(英語表記)manuscripts of the Bible

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖書写本」の意味・わかりやすい解説

聖書写本
せいしょしゃほん
manuscripts of the Bible

古代,中世を通じて,聖書流布,利用のためパピルス,獣皮紙 (特に羊皮紙) などに手書きされた聖書写本。古い年代のもので現存するものは少いが,厳密な聖書本文確定のための基礎資料であり,現代の刊本聖書はそれらによっている。おもなものとして,旧約聖書では,「『イザヤ書』全文の写本」 (クムラン第1洞窟,1世紀前半) ,「5つの旧約聖書写本」 (カイロシナゴーグゲニザ,11世紀) ,「カイロ預言者写本」 (モーシェ・ベン・アシェル作成,895) ,「アレッポの模範写本」 (旧約全文,10世紀初頭) ,「レニングラード写本」 (レニングラード図書館,1008) ,「五書写本」 (大英博物館) などがある。新約聖書では,「ライランズ・パピルス」 (現存最古の写本断片,2世紀初頭) ,「チェスター・ビーティ・パピリ」 (2~4世紀) ,「ボードマー・パピリ」 (ヨハネ1書,1~14,26章,2世紀頃) などのパピルス写本のほか,新約本文確定のための基礎となる「大文字写本」「バチカン版聖書手写本」 (4世紀) ,「エフラエム再録羊皮紙写本」 (5世紀) ,「アレキサンドリア版聖書手写本」 (5世紀) ,「ベザ版聖書手写本」 (6世紀) がある。

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世界大百科事典(旧版)内の聖書写本の言及

【写本画】より

…写本画は,文字を含む比較的小さい画面をごく近接して鑑賞するところから,画面構成や色彩効果などに,大画面の絵画とは異なる特質をもつ。中世には聖書写本に大量の需要があったため,写本画は著しい発展をとげ,教会堂装飾などと並ぶ,中世美術の重要な一分野をなした。なお,イスラム世界の写本画については〈イスラム美術〉の項目中[絵画]を参照されたい。…

※「聖書写本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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