聖戦(読み)せいせん(英語表記)holy war

翻訳|holy war

精選版 日本国語大辞典 「聖戦」の意味・読み・例文・類語

せい‐せん【聖戦】

〘名〙
① 神聖な戦争正義を守るための戦い
※黒船前後(1933)〈服部之総〉撥陵遠征隊「三名の仏人宣教師が、この『聖戦』の案内役として」
② (jihād の訳語) イスラム世界における異教徒改宗および勢力防衛・拡大のための戦い。コーランではイスラム教徒の重要な義務とされる。ジハード

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デジタル大辞泉 「聖戦」の意味・読み・例文・類語

せい‐せん【聖戦】

神聖な目的のための戦争。
ジハード

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改訂新版 世界大百科事典 「聖戦」の意味・わかりやすい解説

聖戦 (せいせん)
holy war

古代オリエントに一般的な信仰によると,神々がみずから戦争を指揮して戦い,勝利を収めると考えられた。シュメール人は,都市国家間の争いを各都市の所有者である神々の争いと考え,アッシリア人は,アッシュール神が遠征の命令を下し,王とともに戦場で戦うと信じた。古代人にとって,敵に勝つことは単なる世俗的事件ではなく,自然・人間界の秩序を破壊する悪の力を克服することを意味した。ウガリト神話は,主神エールやバアルが神々の集会を指揮して混沌の力と戦い,勝利を収めたことを語る。旧約聖書においても,ヤハウェは〈いくさびと〉あるいは〈万軍の主〉と呼ばれ,イスラエル人と外敵の戦いは〈ヤハウェの戦い〉とされる。また,敵に属するものはすべて神に〈献げられたものḥērem〉として,人であれ動物であれ全滅させることが聖戦の定めである。この聖戦思想は,黙示文学では,神と悪魔の間で戦われ,神が勝利する終末戦争(ハルマゲドン)になる。なお,イスラムのジハードも一般に〈聖戦〉と訳される。
ジハード
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖戦」の意味・わかりやすい解説

聖戦
せいせん
holy war

宗教的イデオロギーにより鼓舞され遂行される戦争。歴史的には 11世紀末~13世紀にかけて,ローマ教皇十字軍を組織して行なった戦争や,イスラム教国の版図拡大戦争を典型とする。第2次世界大戦後のアメリカ,ソ連を中心とする二大陣営の対立下で,両者が自由主義あるいは共産主義体制の絶対的優位性を信じて,他者を屈服させようとした冷戦状況も,一種の聖戦イデオロギーの表われであった。日本では第2次世界大戦中,この言葉が国家総動員スローガンとして使われた。イスラム世界ではジハード jihād (本来の意味は努力) といい,近年では,80年に勃発したイラン・イラク戦争や 91年の湾岸戦争も聖戦として位置づけている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「聖戦」の解説

聖戦(せいせん)

ジハード

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旺文社世界史事典 三訂版 「聖戦」の解説

聖戦
せいせん

ジハード

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