聖徳太子像(読み)しょうとくたいしぞう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖徳太子像」の意味・わかりやすい解説

聖徳太子像
しょうとくたいしぞう

聖徳太子の姿を彫刻,絵画で表わしたもの。聖徳太子没後 100年余の8世紀初めに描かれた御物『聖徳太子二王子像』 (太子を中央にし,左右に二童子形を配した三尊形式のもの) が最古で,祖師崇拝が盛んになった平安時代には彫刻,絵画に多くの像が造られた。最古の彫刻遺品には治暦5 (1069) 年,円快が絵師秦致貞 (はたのちてい) とともに造立した法隆寺絵殿の木像,伝七歳像の『聖徳太子坐像』,次いで保安2 (1121) 年の同寺聖霊院の『聖徳太子および侍者坐像』 (国宝) がある。なお同寺絵殿にあった秦致貞画の旧障子絵『聖徳太子絵伝』 (1069,国宝) は著名。ほかに童子形の『南無仏太子像』,水鏡の御影と称する笏を持った図,『勝鬘 (しょうまん) 経講讃図』などがある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「聖徳太子像」の解説

聖徳太子像
しょうとくたいしぞう

聖徳太子像として最も著名なものは法隆寺伝来の御物(ぎょぶつ)本(奈良時代)だが,本来太子像として描かれたものかどうか定かでない。平安後期には太子信仰高揚にともない,童子形で香炉をとる像(いわゆる孝養像)や成人姿で持笏(じしゃく)する像(いわゆる摂政(せっしょう)像)などの形式が成立し,また鎌倉時代にはいり太子2歳時のいわゆる南無仏太子像が現れた。これらの形式の太子像は以後,とくに真言律宗浄土真宗を中心に数多く造られた。

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