聖マルティン祭(読み)せいマルティンさい(英語表記)Martinmas

翻訳|Martinmas

改訂新版 世界大百科事典 「聖マルティン祭」の意味・わかりやすい解説

聖マルティン祭 (せいマルティンさい)
Martinmas

キリスト教の聖人マルティヌスを記念するローマ・カトリック教会の祝日。11月11日。マルティヌスはガリアに最初の修道院を建て,やがてトゥール司教となったが,修道生活を捨てず,多くの弟子を育て,布教に貢献した。彼がローマの軍人としてアミアン軍隊にいたころ,厳冬のある日,裸同然の乞食に自分のマントの半分を切って与えたところ,次の夜,キリストがこの半分のマントを着て夢に現れたという逸話から,この光景によってマルティヌスを描く場合が多い。また,彼は初めて農村伝道を行ったといわれる。聖マルティン祭の日は農繁期を終えた農民の休日で,家畜の大市がたち,冬の準備を始める日となっている。教会は異教時代の祭日の前後に新しい祝日を定めたが,この祝日も今日一般にハローウィーンとよばれる祭りと関係があると思われる。
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世界大百科事典(旧版)内の聖マルティン祭の言及

【宴会】より

…ケルト人のsamhain(〈夏の終り〉。今日では聖マルティン祭),北欧のhaustbóð(〈秋の宴・収穫の宴〉)は,いずれも家畜の放飼いが終わる時期に行われ,このとき,備蓄された冬の飼料ではまかないきれない家畜は屠殺される。屠殺は供犠の式を伴い,肉の大部分は乾燥,塩漬,燻製によって保存食となるが,一部は新鮮なうちに盛大に宴に供せられる。…

【農事暦】より

…これらの穀物はこの時期に播種されるため冬穀と呼ばれる。10月末,遅くも聖マルティン祭(11月11日)までに冬穀の播種を終え,畑の周囲に放牧中の家畜の侵入を防ぐ垣を作る。冬穀播種のあと,翌年の春穀畑を犂耕する。…

※「聖マルティン祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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