老松堂日本行録(読み)ろうしょうどうにほんこうろく

改訂新版 世界大百科事典 「老松堂日本行録」の意味・わかりやすい解説

老松堂日本行録 (ろうしょうどうにほんこうろく)

朝鮮の官僚宋希璟の日本紀行文集。1巻。希璟は1420年(応永27)足利義持派遣使節の回礼使として日本を訪れ,応永の外寇(1419)直後の日本情勢を探った。本書はそのときに書かれた漢詩中心にした紀行文で,当時の西日本の社会・風俗および海賊衆についての詳しい記述がみられる。刊本には《新訂老松堂日本行録》がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本歴史地名大系 「老松堂日本行録」の解説

老松堂日本行録
ろうしようどうにほんこうろく

宋希

解説 一四二〇年足利義持が派遣した使節の回礼使である著者の記録。

活字本 岩波文庫本・続群書類従刊行会本など。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「老松堂日本行録」の意味・わかりやすい解説

老松堂日本行録
ろうしょうどうにほんこうろく

朝鮮回礼使宋希璟(そうきけい)(1376―1446)の日本紀行記。1巻。いわゆる応永(おうえい)の外寇(がいこう)の翌年の1420年(応永27)、室町幕府4代将軍足利義持(あしかがよしもち)の使いに対する回礼使に任命された希璟は、正月に漢城ソウル)を出発し、4月に京都に着いた。そして、6月に義持に面謁して国書を捧呈(ほうてい)し、10月に帰国した。その旅行中における詩集である本書には、随処に室町時代中期の日本の社会、農業、風俗習慣や宗教などについての見聞が記され、かつ辛辣(しんらつ)な批評がなされてもいる。当時の日本社会を知るうえで貴重な記述である。『続群書類従』所収。

黒田日出男

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「老松堂日本行録」の解説

老松堂日本行録
ろうしょうどうにほんこうろく

李氏朝鮮初期の日本紀行詩文集。宋希璟(そうきけい)(号は老松堂)著。応永の外寇後の1420年(応永27)宋希璟が日本回礼使として漢城(現,ソウル)から京都まで往復した際の見聞・感慨を,漢詩とその序に託したもの。日朝関係史だけでなく,海賊寺院・農耕など,15世紀の日本社会が知られる。井上周一郎氏蔵古写本を底本とした訳注本が,「岩波文庫」に所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android