耀天記(読み)ようてんき

改訂新版 世界大百科事典 「耀天記」の意味・わかりやすい解説

耀天記 (ようてんき)

鎌倉中期に撰作された山王神道の書。1巻。撰者は不詳であるが,延暦寺学僧とみられる。現任社司,大宮事等40門にわけて記すが,32門山王事までが1223年(貞応2)の撰,つぎの両所三聖事以下はのちの加筆とみられている。比叡山の鎮守近江坂本の日吉神社の神は釈迦如来垂迹で諸神の根本との思想に立ち,天台教学の三諦即一の教理を示す,その初期的な書。《続群書類従》神祇部所収。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「耀天記」の意味・わかりやすい解説

耀天記
ようてんき

鎌倉時代の天台神道経典の一つ。1巻。貞応2 (1223) 年作。滋賀県坂本の日吉大社由緒を中心とした山王神道書。日吉山王に釈尊が垂迹して衆生を済度するとして,延暦寺の鎮守神である日吉社を最高の神とする。著者は明記されていないが,延暦寺の学僧の撰になるといわれている。山王七社の鎮座の由来や祭礼などと,山王神道に関する神道説を述べ,40項目と付録2条とから成る。書名は大宮の本社である大和三輪山の神代縁起によって山王の神徳を示したもので,別に『山王縁起』『日吉社貞応記』『山王耀天記』とも呼ばれる。

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