羽後(町)(読み)うご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「羽後(町)」の意味・わかりやすい解説

羽後(町)
うご

秋田県南部、雄勝郡(おがちぐん)にある町。雄物(おもの)川西岸に位置し、対岸の湯沢市からバスの便がある。1955年(昭和30)西馬音内(にしもない)町と三輪(みわ)、元(もと)西馬音内、新成(にいなり)、田代(たしろ)、仙道(せんどう)の5村が合併して成立。西部は出羽(でわ)丘陵山地で、東部に雄物川扇状地が広がる。米作のほか、スイカ、メロンの栽培が行われる。出稼ぎの多い地域で、農家数の半分近くが県外に出る。戦国時代は西馬音内氏の支配下、江戸時代は秋田藩領で、矢島藩との境には口留番所(くちどめばんしょ)が置かれた。8月16日から3日間行われる西馬音内の盆踊りは国の重要無形民俗文化財、また江戸初期の神楽(かぐら)舞に発する仙道番楽(ばんがく)、明治初年に始まる三輪地区野中の猿倉人形芝居は県の無形民俗文化財に指定されている。三輪神社本殿は室町時代の様式を伝え、江戸前期の境内社須賀神社本殿とともに国の重要文化財。県内最古の藁葺(わらぶ)きといわれる「鈴木家住宅」も国の重要文化財に指定されている。江戸後期の農学者佐藤信淵(のぶひろ)は西馬音内、または郡山の出身である。面積230.78平方キロメートル、人口1万3825(2020)。

[宮崎禮次郎]

『『羽後町郷土史』(1966・羽後町)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android