美郷(町)(秋田県)(読み)みさと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「美郷(町)(秋田県)」の意味・わかりやすい解説

美郷(町)(秋田県)
みさと

秋田県中央東部、仙北郡(せんぼくぐん)にある町。2004年(平成16)六郷町(ろくごうまち)、千畑町(せんはたまち)、仙南村(せんなんむら)が合併して成立。東部は奥羽山脈の一部を占める真昼(まひる)山地で岩手県と接し、西部は横手盆地の東部にあたる。真昼山地に発する鞠子(まるこ)(丸子)川、真昼川、出(いで)川などの河川が横手盆地東縁で扇状地を形成。JR奥羽本線、国道13号(羽州街道)が通じる。

 北西部、大仙市にまたがって払田柵跡(ほったのさくあと)(国指定史跡)があり、また南西部の横手市境に後三年(ごさんねん)の地名が残り、後三年の役の戦場であった地とされる。六郷には中世末期に六郷氏の小城下町があった。秋田藩の時代には羽州街道の宿で雄物(おもの)川の川湊にも近く、米などの一大集散地として知られた。

 主産業は稲作中心の農業。1938年(昭和13)に始まる田沢疎水事業によって開田された北西部、六郷の湧泉地帯、多雪地帯の南部も含め県内有数の穀倉地帯である。ほかに、野菜、葉タバコ、リンゴなどの果樹栽培、畜産が盛ん。六郷湧水群は「全国名水百選」に選定され、良質な湧水により酒、しょうゆ醸造業が発達した。

 小正月(こしょうがつ)行事の「六郷のカマクラ行事」は国の重要無形民俗文化財。1896年(明治29)の陸羽地震(りくうじしん)で現れた千屋断層(せんやだんそう)は国指定天然記念物。北東部は真木真昼県立自然公園に含まれる。面積168.32平方キロメートル、人口1万8613(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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