美沢川流域遺跡群(読み)みさわがわりゆういきいせきぐん

日本歴史地名大系 「美沢川流域遺跡群」の解説

美沢川流域遺跡群
みさわがわりゆういきいせきぐん

[現在地名]千歳市美々、苫小牧市美沢

札幌苫小牧低地帯南部を流れて太平洋側へ注ぐ美々びび川の支流、全長二キロほどの美沢川流域に分布する遺跡群。旧石器時代から明治初期までに及ぶ。新千歳空港の建設工事に伴い、昭和五一年度から平成七年度まで発掘調査された。調査面積は二三万平方メートル、遺構数は五千、遺物量は三五〇万点にのぼる。当遺跡群の調査は、各時期にわたる豊富な遺構と遺物の出土で、道内で最も重要な発掘成果の一つであるとともに、北海道初の大規模発掘として埋蔵文化財行政確立のきっかけと位置付けられる。

現在新千歳空港のある地域は支笏火砕流堆積物(ほぼ四万年前)に覆われてなだらかな地形となっており、その上に恵庭a火山灰(一万六〇〇〇―一万八〇〇〇年前降下)、樽前d火山灰(八〇〇〇年前頃降下)、樽前c火山灰(二二〇〇年前頃降下)、樽前b火山灰(一六六七年降下)、樽前a火山灰(一七三九年降下)が厚く堆積している。遺構と遺物はこれらの火山灰に挟まれた土層から出土しており、下層から順に恵庭a火山灰下のローム質粘土層(旧石器時代)、III黒層(旧石器時代から縄文時代早期)、II黒層(縄文早期から晩期)、I黒層(縄文晩期・続縄文時代・擦文時代・アイヌ文化期)、0黒層(一六六七―一七三九年)、表土層(一七三九年以降)に区分される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「美沢川流域遺跡群」の意味・わかりやすい解説

美沢川流域遺跡群
みさわがわりゅういきいせきぐん

北海道千歳市などの美沢川流域にある遺跡群。縄文時代から擦文時代にわたる多数の遺跡を含む。新千歳空港建設に伴う事前調査で発掘調査された。北海道では超大規模な調査で,多くの遺構,遺物が出土。擦文時代,続縄文時代のものも数多いが,中心になるのは縄文時代各期の遺構と遺物である。遺跡の中には低湿地を含む部分もあり,植物質の遺物もある。北海道中央部の基準になる遺構と遺物が出土している。

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