精選版 日本国語大辞典 「羊」の意味・読み・例文・類語
ひつじ【羊】
[1] 〘名〙
① ウシ科の哺乳類。ヤギに近縁で、多くはうず巻き状の角をもつ。体には柔らかくて長い巻き毛が密生。約一万年前に中近東で、野生種ムフロンを原種として家畜化されたとされる。毛は羊毛と呼ばれ毛織物の原料になるほか、肉・乳・皮も利用される。草食性で、性質はおとなしく群をなしてすむ。品種が多く、メリノ種などの毛用のほか肉用、毛肉兼用、乳用などに分けられる。世界各地で飼育され、特にオーストラリア、南アメリカなどに多い。日本でも明治以後に飼育が始められた。めんよう。
※書紀(720)推古七年九月「百済、駱駝一匹・驢一匹・羊二頭・白雉一隻を貢れり」
② (①は紙を好んで食うところから) 紙のこと。また、紙製品、紙幣などのこと。
※洒落本・通人三国師(1781)発端「ここにはなし地の硯箱(といひながらおろして)ときにひつじは中橋かね」
③ (紙(かみ)を同音の髪(かみ)に通わせて) 髪結いまたは髪結床のことをいう。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「『かみゐどん』とは髪結殿の訛れるにて、これをしも『ひつじ』と呼るを、羊(ヒツジ)のかみをすくといふより、称へ来るとおぼえたるは」
[2] 謡曲。唐土の桂陽国王秘蔵の羊を盗んだこうしょう夫婦を、子のこうはくが、帝に訴え出て、その功として両親の助命をこい、許される。廃曲。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報