罹災都市借地借家臨時処理法(読み)りさいとししゃくちしゃっかりんじしょりほう

改訂新版 世界大百科事典 の解説

罹災都市借地借家臨時処理法 (りさいとししゃくちしゃっかりんじしょりほう)

第2次大戦における空襲その他の戦災による罹災地と疎開地の借地借家関係を処理する臨時立法(1946公布)。前身は関東大震災後にできた借地借家臨時処理法(1924公布)および戦時罹災土地物件令(1945公布)。罹災都市の復興のために通常の借地借家関係とはちがった応急的処理が必要とされたためにつくられた。主たる内容は,罹災した建物の借家人借地権を取得できるとしたこと(2条,3条),罹災都市の借地権者に土地利用の意思がないとき地主は借地権を消滅させることができるとしたこと(12条),罹災建物の借家人だった者に,再築建物に対する優先的賃借権を与えたこと(14条),地代・家賃等借地借家の条件が著しく不当なときに裁判所が変更命令を出しうるとしたこと(17条)などである。現在では,戦災地だけでなく,火災,震災,風水害のため建物が滅失した地区に,そのつど政令により適用できるとされており(25条の2),伊勢湾台風(1959),新潟地震(1964),酒田大火(1976)のあと適用地区を定める政令がつくられた。1995年の兵庫県南部地震のあと大阪府・兵庫県の罹災地が適用地区とされた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

罹災都市借地借家臨時処理法
りさいとししゃくちしゃっかりんじしょりほう

昭和 21年法律 13号。第2次世界大戦による罹災都市の借地借家関係の調整を目的として制定された臨時立法。罹災建物または疎開建物の借主は,本法施行後2年をかぎり,他の者に優先して借地権を取得できること。滅失した建物が再建されたときは,滅失当時の借主は優先的に賃借することができること。罹災土地または疎開跡地の借地権は,借地権または建物の登記がない場合でも,1946年7月1日から5年間は第三者に対抗できることなどを規定している。この法律は,その後の改正で,大火災,震災,風水害などの災害によって建物が滅失した場合にも,政令で地域を指定して準用されることになり,1948年の福井の震災,1950年の熱海の大火,1961年の八戸の大火など,かなりの地域に適用された。

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