繁菱(読み)しげびし

精選版 日本国語大辞典 「繁菱」の意味・読み・例文・類語

しげ‐びし【繁菱】

〘名〙 四菱(よつびし)一面に並列した文様。綾の地文を普通とし、多く装束の裏や単(ひとえ)の文様に用いる。→繁文(しげもん)
※筆の御霊(1827)前「馬の口に付る男の衣の紋は、装束のうへにて遠菱といへり。是を多く付たるを重(シゲ)菱と云り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の繁菱の言及

【ヒシ(菱)】より

…おもに連続文として菱繫(ひしつな)ぎや,斜線を基本として文様化した襷文(たすきもん)として用いられる。中国唐朝で好まれた実在しない花を菱形にデザインした唐花菱,有職文(ゆうそくもん)の一つで4から20の花菱で一つの大きな菱を構成する幸菱(さいわいびし),おもに織物などの地文に用いられ菱文が隣接して並ぶ繁菱(しげびし),間隔をおいて並ぶ遠菱(とおびし),菱を4等分した割菱で甲斐武田氏が用いた武田菱(たけだびし),菱形の中に順次小さな菱を入れてゆく入子菱(いれこびし),小さい菱形をたすき状に並べた菱襷(ひしだすき),鳥文(とりもん)をたすき状に並べ間に唐花(からはな)を置いた鳥襷(とりだすき)などがある。中世の密教寺院の内陣・外陣の間仕切りには菱格子が多く用いられ,また青森,秋田地方のこぎん,菱刺しは菱繫ぎ文様に特色がある。…

【有職文様】より

…そのほかイラン系唐花文の円形華文と十字形の華文を組み合わせた臥蝶の丸(誤って浮線綾文(ふせんりようもん)ともいわれる)や,唐花の丸(又木形(またぎがた))がある。(2)菱文 丸文と同様の主題を菱形にまとめたもののほか,菱形を四つ組み合わせた四菱(よつびし),これを密に並べた繁菱(しげびし)と,これを間隔をおいて互の目(ぐのめ)に配置した遠菱(とおびし)がある。また,菱形を二重,三重に重ねた入子(いれこ)菱,菱の先端を互いに接しその接点に小型の菱文を置いた幸菱(さいわいびし)(千剣菱(せんけんびし))もある。…

※「繁菱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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