繁繁(読み)しげしげ

精選版 日本国語大辞典 「繁繁」の意味・読み・例文・類語

しげ‐しげ【繁繁】

[1] 〘副〙 (「しけしけ」「しけじけ」とも。「と」を伴って用いることもある)
① 草や木が茂って、枝や葉がすきまなく重なりあうさまを表わす語。
※和歌庭訓(1326)「四方木立しげしげとして涼しきさまにはみえで」
※詩学大成抄(1558‐70頃)五「花のりんも多う、しげしげとさいたぞ」
② たびたび行なうさまを表わす語。しきりに。頻繁に。
※大山寺本曾我物語(南北朝頃)五「あそび者にもか様の者ありけるやと、思ひそめて、景季はしげしげとこそかよひけれ」
洒落本・虚誕伝(1775)「何の、かのと、其身分相応に、しけじけ来られざる事を、いふべし」
視線をそらさず、よく見つめるさまを表わす語。じっと。
浄瑠璃・江州石山寺源氏供養(1676)四「ゑんらわうにしけしけとのたいめんはありかたしともなかなか申はかりはなかりけれ」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「暫らく文三がシケシケと眺めてゐると」
④ 低い声で泣くさまを表わす語。しくしく。
※浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)二「難義は私に乳が少うて、めっきりと顔も細りしげしげ泣は、可哀事じゃ」
[2] 〘形動〙 頻繁なさま。
咄本・鹿の巻筆(1686)三「吉原の上臈〈略〉雛を贈られけるに、その内につとめしげしげにて」

しげしげ‐し【繁繁】

〘形シク〙 回数が多い。頻繁である。
御伽草子・のせ猿草紙(室町末)「文玉章の通ふ事、降る雨よりしげしげしくさふらへども」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「繁繁」の意味・読み・例文・類語

しげ‐しげ【繁】

《「しけしけ」「しけじけ」とも》
[副]
物事が、たび重なるさま。たびたび。何度も。「その店へ繁繁(と)足を運ぶ」
物をよくよく見るさま。じっと。つくづく。「相手の顔を繁繁(と)見つめる」
どんどん。ぐんぐん。
「夜は―と更けわたる」〈浄・用明天王
[形動ナリ]頻繁なさま。
「つとめ―にて」〈咄・鹿の巻筆・三〉
[類語](1たびたびよくしばしばちょくちょく往往ちょいちょいしきりしょっちゅう幾度頻繁頻頻足繁くあまたたび何度も再三再再再三再四再びまた重ねて再度又又又もまたもや/(2つくづくじっくりよくよくくれぐれ念入り入念とくととっくり心して細心丹念克明周到みっしりみっちりつらつらまじまじじっとじろじろじろりきょろりぎょろりきょときょときょろきょろぎょろぎょろはたきっとはった明視がん熟覧細見嘱目瞠若どうじゃく瞠目どうもくめつすがめつの目たかの目のみ取りまなこ視一視目する見入る見張る見澄ます目を凝らす注目虎視虎視眈眈たんたん注視刮目かつもく目配り凝視目撃着目着眼直視正視見る眺める見遣る見詰める見据えるにら目に留まる目を留める目を配る目を注ぐ目を付ける目を向ける目をくれる視線を注ぐ目を遣る目にする目を据える瞳を凝らす瞳を据える目を奪われる目を輝かす目を光らす目を転ずる目を向ける目が行く目を皿にする

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